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2008年 9月13日の新作昔話

日見(ひみ)のキツネ

日見(ひみ)のキツネ
長崎県の民話

 むかしむかし、日見(ひみ)の峠には、いたずらなキツネが六匹も住んでいました。
 このキツネは人間に化けるのが上手で、村の者たちはいつも化かされて困っていました。
 ある者は、白い花の咲くソバ畑を川と思わされて、
「川か。着物がぬれるといかんな」
と、そこをふんどし姿で渡っていったり、またある者は、臭い肥だめをお風呂と思わされて、
「ああ、ええ湯じゃ」
と、首までつかったりもしたのです。
 さて、ある男が峠のキツネ話を聞いて、ひとつ金もうけをしてやろうと考えました。
 そしてキツネの好物の油あげをたくさん持って、峠にやってきたのです。
「おーい、キツネ。お前らに食い物を持ってきたぞ。早く出てこんか」
 男が峠の道でそう言うと、どこからか六匹のキツネが、ぞろぞろと出てきました。
「お前らが化け上手のキツネか。実はな、お前らの化け具合を見てみたくて、こうして土産を持ってきたんだ。どうじゃ、ひとつわしに、人間に化けるところを見せてくれんか?」
 男が油あげをさし出しながらキツネに頼むと、その中の一番大きなキツネが、
「それなら、一回だけだぞ」
と、言って、他のキツネに合図を送ると、あっという間に六人の若者に化けたのです。
「おおっ。こりゃ、見事なものだ」
 男は手をたたいて感心すると、キツネの若者に言いました。
「よし、見事な化け方を見せてくれた礼に、町でうまい物を食わせてやろう。・・・けど、そうなると男より、きれいな女の方がよかろう。お前ら、男に化けるのはうまいが、きれいな女には化けられるか? ・・・まあ、出来ないなら無理にとは言わんが」
 それを聞いたキツネは、むっと腹を立てて、
「そのくらい、わけない。見とれよ」
と、今度は、美しい女に化けたのです。
「おおっ、見事、見事」
 男は大喜びでキツネたちをつれて、長崎の町にやってきました。
 キツネの化けた六人の女はとても美人で、町の男たちは誰もが見とれています。
 男は、ほくほく顔で丸山の遊郭(ゆうかく)に行くと、キツネが化けた女たちを売りとばしてしまいました。
 それからキツネに約束のご馳走を食べさせると、自分はたんまりと手に入れたお金を持って、さっさと帰ってしまったのです。
 次の朝、女郎屋(じょろうや)の主人は、六人の部屋をのぞいてびっくり。
 なんとふとんの上には、大きなキツネが六匹、ねまき姿で寝ているのです。
「このいたずらギツネめ! よくもだましたな! 金を返せ!」
 主人は家の者を呼ぶと、寝ていたキツネたちに殴りかかりました。
「コン、コン、コーン!」
 キツネたちは悲鳴を上げると、頭にたんこぶを作りながら、命からがら日見の峠へ逃げ帰りました。
 そしてこれにこりたのか、このキツネたちは二度と、人間を化かす事はなかったそうです。

おしまい

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