きょうの新作昔話
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2008年 9月20日の新作昔話

竹からうまれた女の子

竹から生まれた女の子
鳥取県の民話

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
「わしらにも子どもがあると、どんなにいいだろうね」
 二人はそう思って、毎日さびしく暮らしていました。
 ある日、おじいさんが山へ竹を切りに行ったら、竹の切り口から小さな女の子が飛び出してきました。
「これは、神さまが授けてくださったに違いない」
 おじいさんは大喜びで女の子を家に連れて帰ると、それはそれは大切に育てました。
 女の子はすくすく育って、やがてとてもきれいな娘になりました。
 ある日、娘が言いました。
「おじいさん、おばあさん、わたしにはたおりをさせてください」
 おじいさんはさっそく町へ行って、はたおり道具を買ってきました。
 そして娘は、はたおり道具を自分の部屋においてもらうと、
「お願いですから、どんな事があってもはたをおるところを見ないでください」
と、頼みました。
 何日かして、娘は出来上がった布をおじいさんに渡して言いました。
「これを、町へ持っていってください」
 その布は、たちまち高いお金で売れました。
 おじいさんは布が出来るたびに町へ売りに行き、たくさんお金をもらって帰ってきました。
 おかげで貧しかった家も、みるみるお金持ちになりました。
「それにしても、なんて不思議な布だ。あの布で着物をつくると、心まで温かくなるそうな」
「ほんにのう。いったい、どうやってあんな布がおれるのか」
 おじいさんとおばあさんが、そのわけを娘にたずねても、
「はい、おじいさんもおばあさんも幸せなれますようにと、神さまにおいのりをして、一生懸命おるだけです」
と、言うばかりです。
 とうとうがまんできなくなった二人は、ある日、娘との約束を破って、こっそり部屋をのぞきました。
 すると、どうでしょう。
 小鳥が一羽、自分のやわらかい毛を抜いて、それを布に混ぜながらはたをおっていました。
 小鳥はすっかりやせこけて、ところどころに地肌が見えています。
「まさか、あの娘が小鳥だなんて」
 二人は思わず、顔を見合わせました。
 そのとたん、小鳥は、
「ピイー」
と、鳴き、そのまま外へ飛び出して、山の方へ飛んでいきました。
 こうしておじいさんとおばあさんは、また子どものいないさびしい毎日をおくるようになりました。

おしまい

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