きょうの日本民話
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2008年 10月31日の新作昔話

はだかのお寺まいり

はだかのお寺まいり
青森県の民話

 むかしむかし、ある山のふもとに、お寺がありました。
 ところがこのお寺へおまいりにくる村の人たちは、不作法にも、ぞうりのままで本堂へ入ってくるのです。
「まったく、ここの村人は作法というものを知らんのか」
 そこで和尚さんが、本堂ののぼり口に、
《履(は)きものをぬいでください》
と、はり紙をしました。
 でもこの村には、字を読める人が一人もいません。
「いったい、なんて書いてあるんだろう?」
 寺にやってきた村人たちが悩んでいると、ちょうどそこへ、字の読める男が通りかかりました。
「ふーん、なるほど。かわったお寺もあるものだ」
 男が感心していると、村人たちがたずねました。
「お前さんは字が読めるのか。それじゃ、なんて書いてあるか教えてくれ」
 でも男は、ひらがなが読めても漢字は読めませんでした。
 そこで男は、はじめの漢字をとばして、
「ここには、『きものをぬいでください』と書いてある」
と、言いました。
「へえ、本堂にのぼる時は、着物をぬぐのか」
 さて、和尚さんが本堂にきてみるとどうでしょう。
 村人たちが一人残らず裸になって、座っていたのでした。

おしまい

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