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2009年 12月30日の新作昔話

頭のいいヒツジ

頭のいいヒツジ
モンゴルの昔話モンゴルの情報

 むかしむかし、モンゴルのある草原に、頭は良いのですが、年を取って体が弱った為に捨てられたヒツジがいました。
 そこへ腹ぺこオオカミがやってきて、ヒツジにもったいぶった様子で尋ねました。
「やあ、こんにちは。ヒツジくん、今日はいい天気だね。・・・ところできみは、名前は何という名前だい?」
 するとヒツジは、少しもあわてた様子を見せずに、こう言いました。
「わたしは、大頭のトンジ王さ」
「ふーん、『大頭のトンジ王』とは、立派な名前だね。ところで君の頭に乗っている立派な角は、何に使うんだい?」
「これは天の神からさずかった武器で、悪いオオカミが来たら、この角で突き殺してしまうんだ」
「ええっ!」
 びっくりしたオオカミは、
(これは、逃げた方がいいかもしれないぞ)
と、思いましたが、でも、相手はしょせんは年寄りのヒツジだと思って、他の質問をしました。
「ところで君は、なぜ、そんなにモコモコした毛をしているんだい? そこまでモコモコしていたら、邪魔だろう?」
 するとヒツジは、オオカミにニヤリと笑って、
「ああ、実はこの毛は、塩の固まりなのさ。オオカミの肉を食べる時に、この塩で味付けをするんだよ。・・・ああ、そろそろお腹が空いてきたな。ちょうど目の前にオオカミがいることだし、今からお昼ご飯にするかな」
 これを聞いたオオカミは、すっかり恐くなって逃げ出したという事です。

おしまい

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