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2011年 2月18日の新作昔話

葉のない木と葉のある木

葉のない木と葉のある木
岐阜県の民話

 むかしむかし、スズメとカラスが林に行って、楢(なら)の木に一夜の宿を頼みました。
 すると楢の木は、
「ふん。お前たちみたいなやつに、宿なんか貸せんわ」
と、断ったのです。
 するとそこへ神さまがやって来て、楢の木に言いました。
「これこれ。へる物でもないし、一宿ぐらい貸してやれ」
 しかし楢の木は、首をふって言いました。
「いいえ、いくら神さまに言われても、こればっかりはゆずれません。
 わしは木の中でも、位の高い楢の木です。
 他の木とは、格が違います。
 ツルやタカと言った格の高い鳥ならまだしも、スズメやカラスごときには宿は貸せません」
「そこを曲げて、今回だけでも」
「いいえ。曲げられません」
「どうしてもか?」
「はい、どうしてもです」
 この楢の木の態度には、さすがの神さまも腹を立てました。
「それなら、仕方がない。今日以降、お前たちは、冬は葉のないようにしてくれる。それでも、いいのか?」
「はい、お好きなように」
「よし、わかった! ・・・では、お前たち、わしが他を当たってやるから、一緒に来るがいい」
 神さまはそう言うとスズメとカラスを連れて、今度は杉や松や檜(ひのき)のところへ行きました。
「実はな、これこれこういう訳で、スズメとカラスが困っておるのだ。どうだ、一晩の宿を貸してもらえないだろうか?」
 すると、杉も松も檜もこころよく言いました。
「はい。それでは、どうぞ私たちを宿にお使い下さい」
 これを聞いた神さまは、とても喜びました。
「おお、そうかそうか、お前たちは、実に良い心がけをしておる。この褒美に、お前たちはどんな時でも葉があるようにしてやるかなら」

 こんな理由で、今でも楢の木は冬になると葉がなくなり、杉や松や檜たちは冬でも葉が青々としているのです。

おしまい

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