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2011年 5月27日の新作昔話

太陽を拾ったジャッカル

太陽を拾ったジャッカル
ケニアの昔話

 むかしむかし、あるジャッカルが林のかげから、こっそりと人間たちの様子を見ていました。
 人間たちはたくさんの荷物をかついで、遠い丘の上へと運んでいきます。
 どうやら、丘の向こうへ引っ越しをするようです。
 ジャッカルは、その人間たちの後をつけていきました。
「こういう時は、ついて行くにかぎる。
 もしかすると、何か良い物を落としていくかもしれないからな」

 しばらく行くと道ばたに、まっ赤に光り輝く丸い物が転がっていました。
「なんだろう?
 ああっ、これはもしかすると、太陽じゃないか?
 やっぱり、人間が荷物を落として行ったぞ。
 食べ物じゃないが、もらっておこう」
 ジャッカルは太陽を背中の毛皮の下にしまって、林の奥に駆け込みました。
 するとしばらくして、背中が太陽の熱で燃える様に熱くなったのです。
「あっちちちち! 煙まで出てきた! 助けてくれえ!」
 ジャッカルは太陽を放り出そうとしましたが、背中の長い毛皮がからまって、なかなか取れません。
 何とか取り出した時には、背中の毛がだいぶ焼けこげていました。
「ちくしょうめ! こうなったのも、人間たちのせいだ!」

 その時からです。
 ジャッカルの美しい毛並みの背中に、黒いしまもようがついてしまったのは。

おしまい

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