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2011年 7月18日の新作昔話

山の化物

山の化物

 むかしむかし、あるところに、腕の良い猟師(りょうし)がいました。

 猟師が山へ猟に行った帰り道、むこうの木の上に、ぼんやりとあんどんの明かりがともっているのに気づきました。
「おや? どうして、あんどうが?」
 猟師が目をこらすと、あんどんの明かりのわきに白髪のおばあさんが座っていて、カラカラカラと、糸車を回しています。
「あんなところに、人がいるはずがない。さては、あのばあさま、山姥だな。よし、おれがしとめてやる」
 猟師は鉄砲に玉を込めると、おばあさんに狙いを定めて、
 ズドーン!
と、撃ちました。
 しかしおばあさんは平気で、あいかわらずカラカラカラと、糸車を回しています。
「よし、今度こそ」
 猟師は二発目を撃ちましたが、なぜかおばあさんは平気です。
「どういう事だ? 確かに玉は、当たっているはず」
 猟師が首をひねっていると、おばあさんは猟師の方を向いて、
「ひひひひひ・・・」
と、不気味に笑いました。
 怖くなった猟師は、あわてて逃げ帰りました。

 次の日、猟師がこの事を隣に住む物知りなおじいさんに話すと、おじいさんは、
「ああ、そりゃあ、山の化け物の仕業だろう。そいつを仕留めたいのなら、ばあさまのそばにある、あんどんを撃たねば」
と、教えてくれました。
 そこで猟師は昨日の所へやってくると、再び現れたおばあさんのそばにあるあんどんめがけて鉄砲の引き金を引きました。
 ズドーン!
 するとあんどんの明かりがパッと消えて、
「ギャーッ!」
と、言う悲鳴と共に、おばあさんが木の上から落ちてきました。
「よし、しとめたぞ!」
 猟師がさっそく正体を調べてみると、なんとそれは何十年も年を取った、大ミミズクだったのです。

おしまい

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