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2011年 7月27日の新作昔話

九鬼ヶ浜

九鬼ヶ浜
京都府の民話

 むかしむかし、源頼光たちが、京の都で大暴れする鬼の親分の酒呑童子(しゅてんどうじ)を退治したのですが、その時に運良く九人の鬼たちが逃げ出して、小橋と言うところにやって来ました。

「鬼だ! 鬼が現れたぞ!」
 小橋の村人たちは突然現れた鬼たちにびっくりしましたが、まともに戦っても殺されるだけです。
 そこで庄屋さんが鬼たちを家に招待して、山海の珍味やお酒で鬼たちをもてなすことにしたのです。
 そして鬼たちが酒に酔ってぐっすり眠り込んだ所を、村の若者たちがクワや竹槍で襲いかかりました。
 さすがの鬼たちも、酒に酔って寝ているところを襲われては、ひとたまりもありません。
 こうして鬼は退治されたのですが、しかし鬼の中にもお酒が苦手な者がいて、酔っていない鬼の一人が浜辺の方へと逃げ出したのです。
「浜辺へ、鬼が逃げたぞ! みんなで、追いかけろ!」
 いくら酔っていない鬼でも、大勢の村人が相手では勝てません。
 村人たちに追い詰められた鬼は、村人たちに涙を流しながら頼みました。
「たっ、助けてください!
 今後は、二度と人前には姿を出しません。
 だから命ばかりは、助けてください!」
 しかし村人たちは、よってたかって鬼を殴り殺したのです。
 すると鬼は死ぬ前に、浜辺の砂を握りしめると、
「せめて、ここにお墓を作ってください」
と、言い残したのです。

 この話を聞いた庄屋さんは、何だか鬼が可愛そうになって、鬼の言葉通りに浜に鬼のお墓をつくって、この浜を『九鬼ヶ浜』と名付けたのです。

おしまい

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