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2011年 9月26日の新作昔話

静貫とネズミ

静貫とネズミ
千葉県の民話

 むかしむかし、「芝山仁王尊」と呼ばれるお寺に、静貫(じょかん)という名前のお坊さんがいました。
 静貫はとても動物好きで動物を可愛がるので、静貫のまわりには犬やネコや小鳥たちがいつも集まっていました。

 それらの動物の中でも、一番なついていたのはネズミです。
 ネズミは夜になると静貫の枕元に集まって来て、布団の中にもぐったり、静貫のツルツル頭をすべって遊んだりしました。
 もちろん静貫は嫌がったりせず、いつもニコニコしていました。

 ある年のお正月の夜、寝ている静貫の耳元で、ネズミたちがチューチューと鳴きました。
 その鳴き声がいつもと違うので静貫がネズミたちを見てみると、ネズミたちが小さな手で静貫に手招きをしているのです。
「おや、わしをどこかへ案内したいのかな?」
 そこで静貫は起き上がると、ネズミの後をついて行きました。
 ネズミたちは、静貫がいつもお経をあげている部屋に静貫を連れて行きました。
 すると不思議な事に、明かりがなくて真っ暗なはずの部屋が、ほんのりと明るくなっているのです。
 静貫を案内したネズミたちは一列に勢揃いすると、一斉に踊りを始めました。
 ネズミたちはクルリと宙返りをしたり、ヒョコヒョコと後ろ足だけで歩いたりと、次から次へと楽しい芸を見せてくれます。
 やがてネズミたちの踊りが終わると、ネズミの親分が静貫の前に進み出て言いました。
「いつも、わたしたちネズミを可愛がってくれて、ありがとうございます。今日はせめてものお礼に、みんなでがんばってみました」
 それを聞いて静貫はうれしくなり、思わず目に涙を浮かべながら言いました。
「いやいや。こちらこそ、楽しい芸を見せてくれてありがとう。ネズミさんたち、これからもよろしくな」
 ネズミたちが芸を見せてくれたのはその日だけでしたが、それからも静貫はネズミたちと仲良く暮らしたということです。

おしまい

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