2012年 1月30日の新作昔話
腹痛を治す方法
新潟県の民話
むかしむかし、お腹がとても痛くなったおじいさんが、お寺の和尚さんに相談をしました。
「和尚さま。実は腹が痛くて、たまらんのです。どうしたら、いいですかのう?」
すると、和尚さんが言いました。
「腹が痛いのは、腹の中に悪い虫がおるからじゃ。その悪い虫を退治するには、生きたカエルを飲み込むのが一番」
「なるほど、カエルですか」
そこでおじいさんはカエルを捕まえると、生きたままカエルを飲み込みました。
するとお腹に入ったカエルが、おじいさんのお腹にいた悪い虫をパクリパクリと全部食べてくれたのです。
おかげでおじいさんのお腹が痛いのは、いっぺんに治ってしまいました。
さて、虫がいなくなってお腹が痛いのは治ったものの、今度は飲み込んだカエルがペタリペタリとお腹の中を歩き回るのです。
そこでおじいさんは、また和尚さんに相談をしました。
「和尚さま。おかげさまで腹が痛いのは治りましたが、腹の中のカエルがペタリペタリと歩き回って困っています。どうしたら、いいですかのう?」
「カエルを退治してくれるのは、ヘビだ。だから生きたヘビを飲み込めば、すぐにカエルを退治してくれるぞ」
「なるほど、ヘビですか」
そこでおじいさんはヘビを捕まえると、生きたままのヘビを飲み込みました。
するとお腹に入ったヘビが、ペタリペタリと歩き回るカエルを食べてくれたのです。
おかげでカエルがお腹の中をペタリペタリと歩き回るのはなくなりましたが、今度は飲み込んだヘビがクネクネとおじいさんのお腹の中を動き回るのです。
そこでおじいさんは、また和尚さんに相談をしました。
「和尚さま。カエルが腹の中をペタリペタリと歩き回るのは治りましたが、今度はヘビがクネクネと動き回って困っています。どうしたら、いいですかのう?」
「ヘビを退治してくれるのは、キジだ。だから生きたキジを飲み込めば、すぐにヘビを退治してくれるぞ」
「なるほど、キジですか」
そこでおじいさんはキジを捕まえると、生きたままのキジを飲み込みました。
するとお腹に入ったキジが、クネクネと動き回るヘビを食べてくれたのです。
おかげでヘビがお腹の中をクネクネと動き回るのはなくなりましたが、今度はキジがケンケンバタバタとお腹の中で騒いだのです。
そこでおじいさんは、またまた和尚さんに相談をしました。
「和尚さま。ヘビがクネクネと動き回るのは治りましたが、今度はキジがケンケンバタバタと騒いで困っています。どうしたら、いいですかのう?」
「キジを退治するのは、狩人だ。だから生きた狩人を飲み込めば、すぐにキジを退治してくれるぞ」
「なるほど、狩人ですか」
そこでおじいさんが道で出会った狩人をパクリと飲み込むと、お腹の中に入った狩人が鉄砲でキジを仕留めてくれました。
でも今度は狩人の鉄砲がせまいお腹の中でゴツンゴツンとぶつかるので、おじいさんはいつ鉄砲で撃たれるか心配でたまりません。
そこでおじいさんは、またまた和尚さんに相談をしました。
「和尚さま。キジがケンケンバタバタと騒ぐのは治りましたが、今度は狩人の鉄砲でいつ撃たれるか心配でたまりません。どうしたら、いいですかのう?」
「鉄砲を持った狩人に勝てるのは、鬼だな。生きた鬼を飲み込むといいぞ」
「なるほど、鬼ですか」
そこでおじいさんは夜になるのを待って、鬼が出て来たところをパクリと飲み込んだのです。
おじいさんのお腹に入った鬼は、すぐに狩人を食べてくれましたが、今度は鬼の角がお腹の中をギリギリ突き刺したのです。
困ったおじいさんは、またまた和尚さんに相談をしました。
「和尚さま。鉄砲を持った狩人は鬼が退治してくれましたが、今度は鬼の角がギリギリ突き刺さって困っています。どうしたら、いいですかのう?」
「鬼を退治するのは、簡単な事。すぐに追い出してやるから、大きな口を開けて持っていろ」
和尚さんはそう言うといった豆を持って来て、おじいさんの口の中へ豆を投げ込みながら言いました。
♪鬼は、外!
♪鬼は、外!
すると鬼はびっくりして、おじいさんのお尻の穴から飛び出すと、どこかへ行ってしまいました。
おしまい