2012年 7月13日の新作昔話
カッパの誕生
むかしむかし、天然痘(てんねんとう)という悪い病気が流行って、多くの人が死んでしまいました。
その当時、この病気は悪い神さまがおこす病気だと言われていたのです。
「このままでは、我々は全滅してしまうぞ。何とかして、悪い神をやっつけるのだ!」
人々は立ち上がりましたが、でも悪い神を戦っても、退治するどころか病気にされて死んでしまうだけです。
そこで人々が、占い師に相談したところ、
「人間だから病気にされるのだ。人形に魂を吹き込んでそれに戦わせればよい。わしが魂を吹き込んでやるから、お前たちは草で人形を作るのだ」
と、言うのです。
そこで人々は、草で多くの人形を作りました。
そして占い師がその人形に魂を吹き込む呪文を唱えると、人形は次々と動き出して、悪い神と戦ってくれたのです。
人形は勇敢に戦い、何とか悪い神を追い払う事が出来ました。
そのおかげで、天然痘に少しずつ収まっていったのです。
そして人々は、悪い神と戦って死んだ人形たちに感謝しながら、死んだ人形を川に流しました。
でもその人形の中には、まだ魂の残っていた人形がいくつかあったのです。
やがてその生きた人形は川に住む妖怪となり、人々からカッパと呼ばれるようになりました。
こうしてカッパは、この世に生まれたのです。
むかしからカッパは、手を引っ張ったら簡単に抜けてしまう と言われますが、それはカッパが草で作られた人形だったからと言われています。
おしまい