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2012年 8月17日の新作昔話

カッパのかんざし

カッパのかんざし
和歌山県の民話

 むかしむかし、紀伊の国(きいのくに→和歌山県)に住むカッパは、他のカッパと違って、頭にきれいなかんざしをさしていました。
 そのカッパが住んでいる温川(ぬるみがわ)の近くの村に、しげのと言う、可愛い娘が住んでいたのです。
 しげのは、とてもおしゃれが好きな娘です。
 そこで村人たちがうわさする、カッパのかんざしを聞くと、
「あたしも、一度でいいから、そのカンザシを見てみたいな」
と、親が寝しずまるのを待って、こっそり家を抜け出すと、カッパがいる川へと出かけたのです。
 その日はカッパは姿を見せませんでしたが、それを何日も何日も続けたある日、ついにカッパが姿を現したのです。
 そのカッパのかんざしは、月の光にキラキラと輝いて、夢のような美しさです。
「ああ、一度でいいから、あのカンザシをさしてみたいな」
 しげのはすっかり、カッパのかんざしに心を奪われてしまいました。
 そしてそれからも、暇さえあればカッパを見に行ったしげのに、ある晩カッパが、しげのに向かって、おいでおいでと手招きをしたのです。
 しげのはカッパに招かれるままに川の中に入って行き、そして二度と帰っては来ませんでした。
 そんな事があってから、村人たちはそのしげのが消えた場所を、《シゲノ淵》と、呼ぶようになったそうです。

おしまい

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