2012年 10月5日の新作昔話
カエルには、尻尾がない理由
アメリカの昔話 → アメリカの情報
むかしむかし、オタマジャクシは大きくなってもあのままの姿で、カエルにはなりませんでした。
でも、今ではオタマジャクシは大人になると尻尾が無くなり、その代わり手足が生えてカエルになりますね。
それには実は、こんな理由があったのです。
ある日の事、神さまは、オタマジャクシたちを呼んで言いました。
「お前たちは、いつも水辺で遊んでばかりだな。たまにはトウモロコシ畑へ行って、草むしりでもしなさい」
そこでオタマジャクシたちはトウモロコシ畑へ行って、せっせと草むしりをしました。
しかしすぐにあきてしまい、草むしりを止めてしまいました。
「ねえ、水辺へ行って、水遊びをしようよ」
「いいねえ。自慢の尻尾で、思いっきり泳ぎたいよ」
「でも、草むしりをさぼると、神さまに叱られないかな?」
おたまじゃくしたちが話していると、そこへ悪魔が通りかかって言いました。
「遊びたい時は、仕事なんて忘れて遊ばないと。水遊びをしたいのなら、良い小川があるからついておいで」
そして悪魔がきれいな小川を教えてくれたので、みんなは小川に飛び込んで、わいわいと水遊びを始めました。
ところが、これを知った神さまが大変怒って、
「仕事をさぼって、何を遊んでいる! そんな体の半分もある大きな尻尾を持っているから、水遊びがしたくなるのだ!」
と、 オタマジャクシたちの尻尾を、ちょきんと切ってしまいました。
こうなると、オタマジャクシは丸い体しか残りません。
そこでオタマジャクシたちは、神さまに泣いて頼みました。
「尻尾の無い丸い体では、動く事も出来ません。どうか、尻尾を返して下さい」
そこで神さまは、こう言いました。
「では、お前たちが子どもの間は、長い尻尾で水遊びをするのを許してやろう。でも、大人になったら尻尾の代わりに手足をあげるから、まじめに働くのだよ」
その時からだそうです。
子どもであるオタマジャクシの時は立派な尻尾があるのに、大きくなってカエルになると手足が生えて尻尾がなくなるのは。
おしまい