2012年 12月31日の新作昔話
ラピンさんと七面鳥
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むかしむかし、ラピンさんと言う名前の慌て者が仕事から帰る途中、一羽の大きな七面鳥が眠っているのを見つけました。
ラピンさんはそれを見て、思わず首を傾げます。
「おや? この七面鳥、頭がないや」
七面鳥は寝るときに、頭を羽の中につっこんで寝るのですが、ラピンさんはそんな事は知りません。
「おかしいなあ? 七面鳥の頭は、どこへいったのだろう?」
次の晩も、そのまた次の晩も、同じ場所で寝ている七面鳥を見て、ラピンさんは首を傾げます。
そしてある晩、ラピンさんは七面鳥に声をかけました。
「七面鳥さん、こんばんは」
すると七面鳥は、頭を羽の下に押し込んだまま答えました。
「はい、こんばんは。何か、ご用ですか?」
「あの、七面鳥さんには、頭があるの?」
すると七面鳥は、怒って言いました。
「あるに、決まっているだろう!」
「でも、どこにあるんだい?」
「ここだよ。眠いのに、うるさいなあ」
ラピンさんは、一生懸命に七面鳥の頭を探しましたが、どこにも見あたりません。
そこで家に帰って、妹に言いました。
「お前、知ってるかい。
七面鳥は、寝る時に頭をはずして寝るんだよ。
だからぼくも、これからそうしてみようと思うんだ。
きっとその方が、よく寝られるよ。
それに頭をはずしたって、口はきけるんだ。
さっき、頭のない七面鳥と話をしてきたんだから」
ラピンさんはそう言うと、オノで自分の頭を、えいっ! と、切ってしまったのです。
「馬鹿! 七面鳥は、羽の下に頭を突っ込んで寝るんだよ!」
妹は大あわてでラピンさんの頭を体にくっつけると、ラピンさんを叱りつけました。
おしまい