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2013年 3月1日の新作昔話

最後の豆

最後の豆

 むかしむかし、とても豆作りの上手な男がいて、家の畑で色々な豆を作っては大黒さまにお供えをしていました。

 ある日の事、そろそろお嫁さんが欲しいと思った男は、大黒さまにお願いをしました。
「大黒さま。どうか、おらに嫁っこを授けてくだされ」
 すると、その夜の夢枕に大黒さまが現れて、こう言ったのです。
「今日から三年の内に百種類の豆を集められたら、良い嫁を世話してやろう。ついでに村一番の長者にもしてやるぞ」

 それから男は必死になって色々な豆を作り、暇さえあればあちこちに旅をして新しい豆を探しました。
 こうして九十九種類の豆を集めたのですが、どうしてもあと一種類が見つかりません。

 今日はいよいよ、約束の三年目です。
 疲れ切った男は、大黒さまに手を合わせて謝りました。
「大黒さま。おら、この三年間頑張っただども、約束の百種類まであと一種類が足りねえ。申し訳ねえ」
 するとその夜、夢枕にまた大黒さまが現れて言いました。
「この三年間、よく頑張ったな。百種類の豆は確かに受け取ったぞ。約束通り、嫁の世話と村一番の長者にしてやろう」
「しかし、おらの集めた豆は九十九で、あと一つ足りねえだ」
 男がそう言うと、大黒さまは男の手や足を指さして言いました。
「最後の豆は、お前の手足にある」
 そこで目覚めた男が自分の手足を見てみると、確かに、今まで一生懸命働いて出来た豆がありました。

 それからしばらくしたある日の事、男の働きぶりに感心した村一番の長者が、一人娘の婿になって欲しいと言ってきたのです。
 こうして男は良い嫁さんを手に入れて、村一番の長者になったのでした。

おしまい

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