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3月4日の世界の昔話

おばあさんの子ブタ

おばあさんの子ブタ
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 むかしむかし、おばあさんが、市場で小さなブタをかいました。
 ブタをつれてうちへかえってきましたが、うらにわの戸口のところでたちどまって、どうしても中へはいろうとしません。
 こまったおばあさんが、だれかてつだってくれる人をさがそうとあるいていくと、イヌにであいました。
 それでおばあさんは、
「ねえ、イヌよ。うちの子ブタにかみついておくれ。子ブタが戸口をふさいでいるので、わたしもうちへはいれないのだよ」
と、いいましたが、イヌはだまってそっぽをむいています。
 しかたなくおばあさんは、またすこしあるいていくと、木のこんぼうにであいました。
「ねえ、こんぼうや。イヌをぶっておくれ。イヌが子ブタをかまないから、子ブタはいり口をふさいだままなの。それでわたしはうちへはいれないのだよ」
 そういっても、こんぼうはへんじをしません。
 おばあさんは、またすこしあるいていきました。
 こんどは、赤い火がもえていました。
 それで、おばあさんは、
「火よ。こんぼうをやいておくれ。こんぼうがイヌをぶたないから、イヌが子ブタをかまないし、子ブタがいり口をふさいでいるから、わたしはうちへはいれないのだよ」
 そういっても、火はへんじをしません。
 おばあさんがまたあるいていくと、こんどは水にであいました。
「水よ。火をけしておくれ。火がこんぼうをやかないから、こんぼうはイヌをぶたないのよ。イヌが子ブタをかまないから、子ブタはいり口をふさいだまま。それでわたしはうちへはいれないのだよ」
 そういっても、水はへんじをしません。
 おばあさんがまたあるいていくと、こんどはウシにであいました。
「ウシよ。水をのんでおくれ。水が火をけさないから、火がこんぼうをやかないし、こんぼうがイヌをぶたないから、イヌが子ブタをかまないし、子ブタがいり口をふさいでいるから、わたしはうちへはいれないのだよ」
 でも、ウシはだまっています。
 おばあさんがまたあるいていくと、なわにであいました。
「なわよ。ウシをしばっておくれ。ウシが水をのまないから、水が火をけさないし、火がこんぼうをやかないから、こんぼうがイヌをぶたないし、イヌが子ブタをかまないから、子ブタがいり口をふさいだまま。それでわたしは、うちへはいれないのだよ」
 そういわれても、なわはへんじをしません。
 おばあさんがまたあるいていくと、ネズミがいました。
「ネズミよ。なわをかじっておくれ。なわがウシをしばらないから、ウシが水をのまないし、水が火をけさないから、火がこんぼうをやかないし、こんぼうがイヌをぶたないから、イヌは子ブタにかみつかない。子ブタはいり口をふさいだままで、わたしはうちへはいれないのだよ」
 でも、ネズミはだまっています。
 またあるいていくと、ネコにあいました。
「ネコや。ネズミをとっておくれ」
と、おばあさんは、ネズミとなわとウシと水とこんぼうとイヌが、みんなうごいてくれないので、子ブタがいり口をふさいだままで、おばあさんがうちへはいれないと、わけをはなしました。
 するとネコは、
「ニャーン、ニャーン。おばあさん、あんたがウシのところへいって、おちちをもってきてくれたら、わたしはネズミをとってあげるよ」
 そういいましたので、おばあさんはウシのところへいって、おちちをくださいとたのみました。
 するとウシは、
「おばあさん、あんたがまきばのほし草をひとかかえもってきてくれたら、おちちをあげるよ」
 おばあさんはさっそく、まきばからほし草をもってきて、ウシにやりました。
 ウシはその草をたべると、おちちをだしてやりました。
 おばあさんは、それをおさらにいれて、ネコのところへもっていきました。
 ネコはよろこんでおちちをなめると、すぐにネズミをおいかけました。
 ネズミがなわをかじろうとしますと、なわはウシをしばろうとします。
 それでウシが水をのみかけますと、水は火をけそうとして、火はこんぼうをやこうとします。
 こんぼうがイヌをぶとうとしますと、イヌは子ブタにかみつこうとしました。
 すると子ブタはようやく、にわへとびこみました。
 それでおばあさんもやっと、うちへはいることができたのです。

おしまい

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