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7月13日の世界の昔話

眠れる森の美女

眠れる森の美女
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 むかしむかし、ある国のお城で、お姫さまが生まれました。
 王さまは国じゅうの人をよんで、お祝いしました。
 お祝いには、十二人の魔法使いたちもやってきました。
 だけどただひとり、十三人目の魔法使いだけは、お祝いによばれませんでした。
 じつは、お城には魔法使いたちの使うお皿が十二枚しかなかったからです。
 お祝いによばれた魔法使いたちは、つぎつぎに進み出て、お姫さまにおくり物をささげました。
「きれいな人になるように」
「やさしい心を持つように」
「だれよりもかしこくなるように」
 そして、十二人目の魔法使いが進み出たときです。
 城じゅうに、おそろしい声がひびきました。
「よくもわたしをのけ者にしたね。姫よ、わたしのおくり物を受けるがいい。おまえは十五才の誕生日につむ(→糸つむぎの道具)にさされて死ぬのだ」
 十三人目の魔法使いは、そういうと消えてしまいました。
「大変だ。どうすればいいのだろう」
 人びとは大さわぎです。
「待ってください。まだ、わたしが残っていますわ」
 そういったのは、十二人目の魔法使いでした。
「お姫さまは死にません。つむにさされても、百年の間眠るだけ。それからりっぱな人のキスで目をさまします」
 だけど、王さまは心配でたまりません。
「国中のつむを1つ残らず集め、燃やしてしまえ」
 命令を受けた人びとは、つむを集めて火をつけました。
「これでよし。つむがなければ、姫もさされはしないだろう」
 王さまも人びとも、ホッとしました。
 お姫さまは、すくすくと大きくなって十五才になりました。
 ある日のこと、お姫さまはひとりでお城の中を歩いていました。
 いくつもの階段(かいだん)をのぼって見つけたのは、小さな入り口です。
「まあ、こんなところに部屋が。ここにはなにがあるのかしら?」
 お姫さまは、もう三つ階段を上り、古ぼけたへやにはいっていきました。
 中にいたのは、おばあさんです。
 おばあさんは糸をつむぐ車を、ブンブンと回していました。
「まあ、おもしろそうだこと。おばあさん、ちょっとかしてくださいな」
「いいともいいとも、さあ、手をだしてごらん」
 なんにも知らないお姫さまは、つむぎ車に手をのばしました。
 そのとたん、つむぎ車のつむが、お姫さまの手をさしてしまったのです。
「イッヒヒヒヒ。うまくいったよ」
 おばあさんは笑い声を上げると、どこかへ消えてしまいました。
 じつは十三人目の魔法使いがおばあさんに化けて、お姫さまを待っていたのです。
 お姫さまはバッタリとたれると、そのままねむってしまいました。
 とたんに、お城の時計がピタリと止まりました。
 ネズミを追いかけていたネコは、屋根の上で眠ってしまい、料理番は料理のとちゅうで眠りました。
 いえ、それだけではありません。
 なんと空を飛んでいるトリも空に浮いたままで、料理をあたためていた火もねむってしまったのです。
 なにもかもがねむったお城の回りで、イバラだけがのびました。
 そして、長い年月がすぎた ある日、りっぱな王子さまがイバラのそばへ行きました。

イバラと王子さま

 すると、トゲだらけのイバラがスルスルと動いて、王子さまを取り囲みました。
 王子さまは剣をぬいて、おそいかかるイバラを切り落としますが、いくら切り落としてもきりがありません。
  とうとうイバラに囲まれた王子さまは、死を覚悟しました。
  ところがそのとき、イバラはみるみるちぢんでいって、 お城へ続く道が現れたのです。
  ちょうど今日が、百年目だったのです。
 王子さまはお城へ行くと、お姫さまが眠っているへやに入りました。
「なんて、きれいなひとだろう」
 お姫さまを見つけた王子さまは、思わずキスをしました。
 すると、百年ねむりつづけていたお姫さまは目が、パッチリと開いたのです。
 いえ、お姫さまだけでなく、お城中が眠りからさめました。
 ネコはネズミを追いかけはじめ、料理番はナベを火にかけました。
 空を飛んでいたトリも、また飛び続けました。
 全ての事を知った王さまは、城中のみんなにいいました。
「みなの者、魔女(まじょ)ののろいはとけたぞ。さあ、結婚式の準備をするのだ。おおいそぎでな」

おしまい

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