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8月28日の世界の昔話

ロンドン橋

ロンドン橋
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 むかしむかし、ノーフォークといういなか町に、まずしい男が住んでいました。
 その男がある日、夢を見ました。
 まだ見たことのない、ロンドン橋の景色(けしき)が広がると、
「ここへいけば、いいことがあるぞ」
と、いう声が聞こえたのです。
 その夢が、つぎの夜も、またつぎの夜も、たて続けに続いたものですから、男は、
「こりゃ、ためしにいってみよう」
と、長い道のりをロンドンまで歩きに歩き、やっとのことでたどりつきました。
 ロンドン橋のまわりには、たくさんのお店が立ち並び、川には大きな船がしきりといきかっています。
 男は生まれて初めて見る都のようすにウットリしながら、橋の上をウロウロしていました。
 けれど、夢のお告げにあったようないいことは、起こってくれません。
 そんなことが三日も続いたある日のこと、橋の上で店を開いている主人が男をよびとめました。
「おまえさん、なんだって毎日、こんなところをいったりきたりしとるんだね?」
「いえ、ここへくるといいことがあるっていう、夢を見たもんでね」
 男が答えると、主人は腹をかかえて笑いました。
「まったくあんたもおひとよしだな。実はおれもちょくちょく夢を見るよ。ノーフォークとかいういなかにいる、まずしい男の家の裏庭の、カシの木の根もとをほると、宝物が出てくるというんだ。だが、そんな夢をまにうけて、わざわざ出かけていくほど、おれはおひとよしじゃないね」
 それを聞くなり、男はいちもくさんに走り出しました。
 やがてノーフォークの家に帰りつくと、家の裏のカシの木の根もとをほりおこしてみました。
 すると、ほんとうにたくさんの宝物が出てきたのです。
 男はこうして大金持ちになると、ふるさとに教会をたてました。
 村の人びとはその記念に、男の銅像をこしらえたということです。

おしまい

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