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12月23日の世界の昔話

ネズミのしっぽ

ネズミのしっぽ
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 むかしむかし、ネコとネズミが、一緒に小屋の中で遊んでいました。
 すると突然、ネコがネズミのしっぽをかみ切ったのです。
「いたーい! なにをするんだ! しっぽを返してくれ!」
 ネズミが文句を言いましたが、ネコはしっぽを返してくれません。
「やだよ。しっぽを返してほしけりゃ、め牛のところへ行って、ミルクをもらっておいで」
 そこでネズミは、め牛のところへかけていきました。
「め牛さん、め牛さん。ぼくにミルクを下さいな。ミルクをネコにあげなくちゃ、ぼくのしっぽが戻らないんだ」
 するとめ牛は、ネズミに言いました。
「だめだめ、ミルクがほしけりゃ、お百姓さんのところへ行って、ほし草をもらっておいで」
 そこでネズミは、お百姓さんのところへかけていきました。
「お百姓さん、お百姓さん。ぼくにほし草を下さいな。ほし草をめ牛にあげなくちゃ、ミルクがもらえないし、ミルクをネコにあげなくちゃ、ぼくのしっぽが戻らないんだ」
 するとお百姓さんが、ネズミに言いました。
「だめだめ、ほし草がほしけりゃ、肉屋さんのところへ行って、肉をもらっておいで」
 そこでネズミは、肉屋さんのところへかけていきました。
「肉屋さん、肉屋さん。ぼくに肉をくださいな。肉をお百姓さんにあげなくちゃ、ほし草がもらえないし、ほし草をめ牛にあげなくちゃ、ミルクがもらえないし、ミルクをネコにあげなくちゃ、ぼくのしっぽが戻らないんだ」
 すると肉屋は、ネズミに言いました。
「だめだめ、肉がほしけりゃ、パン屋さんのところへ行って、パンをもらっておいで」
 そこでネズミは、パン屋さんのところへかけていきました。
「パン屋さん、パン屋さん。ぼくにパンをくださいな。パンを肉屋さんにあげなくちゃ、肉がもらえないし、肉をお百姓さんにあげなくちゃ、ほし草がもらえないし、ほし草をめ牛にあげなくちゃ、ミルクをもらえないし、ミルクをネコにあげなくちゃ、ぼくのしっぽが戻らないんだ」
 すると、パン屋さんが言いました。
「いいとも、パンをあげよう。でも、これからは小麦をかじってはいけないよ。もし少しでもかじったら、首をちょんぎるからね」
「はいはい。けっしてかじりません。約束します」
 そこでネズミはパン屋さんからパンをもらって、肉屋さんのところへ行きました。
「肉屋さん、肉屋さん。パンを持ってきましたよ。だから肉をくださいな」
「ほう、こいつは、うまそうなパンだ。よしよし、肉をあげよう」
 ネズミは肉屋さんから肉をもらって、お百姓さんのところへ行きました。
「お百姓さん、お百姓さん。肉を持ってきましたよ。ほし草をくださいな」
「ほう、こいつは、うまそうな肉だ。よしよし、ほし草をあげよう」
 ネズミは、お百姓さんからほし草をもらって、め牛のところへ行きました。
「め牛さん、雌牛さん。ほし草を持ってきましたよ。ミルクをくださいな」
「ほう、こいつは、うまそうなほし草だね。よしよし、ミルクをあげよう」
 ネズミは、め牛からミルクをもらって、ネコのところへ行きました。
「ネコさん、ネコさん。ミルクを持ってきましたよ。だからぼくのしっぽを返してくださいな」
「ほう、こいつは、うまそうなミルクだ。よしよし、しっぽを返してあけよう」
 こうしてネズミはネコはミルクを渡して、やっとしっぽを取り返しました。

おしまい

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