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6年生のイソップ童話
けちんぼう
けちんぼうが、自分の財産を金にかえて、その金のかたまりをある場所にうめました。
そうすると、けちんぼうは自分の生きがいも元気も、ぜんぶ金のかたまりといっしょにうめたような気持ちになってしまいました。
それで毎日、うめた宝(たから)を見に行きました。
1人の職人が、毎日やってくるけちんぼうを観察して、なぜ来るのかを見破りました。
そこで、けちんぼうがかえった後で、土をほりおこし、金のかたまりをぬすんでしまいました。
次の日、けちんぼうが来てみますと、穴(あな)はからっぽになっていました。
けちんぼうは髪の毛(かみのけ)をかきむしって、おいおい泣き出しました。
泣いているけちんぼうを見た人が、心配して声をかけましたが、わけを知ると、
「なんだ、それじゃあ、泣くことはないでしょう。だってあなた、金のかたまりがあったときも、持っていないと同じだったのだから。石ころを持ってきて、金のかたまりのかわりにうめなさい。そして、それが金のかたまりだと思っていればいいじゃありませんか。石ころが金のかたまりの役をはたしてくれますよ。あなたは金がそこにあったときも、金をちっとも役立てなかったらしいからね」
この話は、お金という物は、つかって楽しまなければ、どれほどの金持ちでも、貧乏人(びんぼうにん)と同じだということをおしえています。
おしまい