福娘童話集 小学生童話 6年生
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6年生のイソップ童話

ワシとトビ

ワシとトビ

 ワシが悲しい顔で、木の枝にとまっていました。
「どうしました? どうして、そんなに悲しんでいるのですか?」
 一緒(いっしょ)の木にとまっていたトビが、やさしく声をかけました。
「実は、わたしは、自分に合うおむこさんがほしいのですが、どこを探(さが)しても見つからないのです」
 するとトビが、
「それでは、このぼくではどうでしょう? ぼくはトビですが、ワシのあなたよりも強いですからね」
「あなたの小さな体で、どうやって、わたしたち二人の食べ物をつかまえるのですか?」
「ハッハハハ。大丈夫(だいじょうぶ)ですよ。ぼくはいつも、ダチョウをじまんのカギ爪(つめ)でしとめて、運び去るのですから。あなたには、ぜいたくをさせてあげますよ」
 ワシはこの言葉に心を動かされて、トビと結婚(けっこん)してもいいといいました。
「では、すぐに結婚式(けっこんしき)だ」
 それからすぐ、結婚式(けっこんしき)がとり行われ、ワシはトビのお嫁(よめ)さんになりました。
「あなた。さあ、約束通り、ダチョウを捕(つか)まえてきて下さいな」
 トビは空高くまいあがると、狩(か)りに出かけました。
 しかし、長い時間かかったすえに持ち帰ったのは、やせたネズミが一匹(1ぴき)でした。
 しかも、すでに死んでいたネズミらしく、くさっていて、とてもくさいにおいがしました。
「まあ、これがきょうのごはんなの? わたしにダチョウをとってきてくれる約束をしたのに」
 すると、トビは言いました。
「あのとき、ああ約束しなければ、君のような鳥の王家の者とは、結婚(けっこん)できなかっただろうからね。さあ、このネズミを全部あげるよ」
「・・・・・・」

 この後、ワシとトビがどうなったかは、ご想像にお任せしますが、この話しのトビのように、男の人は女の人の前でミエをはります。
 女の人は、男の人が本当に頼(たよ)れる人かどうか、よく考えてからお付き合いをしましょう。

おしまい

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