福娘童話集 小学生童話 6年生
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6年生のイソップ童話

ワシとキツネ

ワシとキツネ

 ワシとキツネが友だちになって、近所に住むことに決めました。
 いつもいっしょにいれば、もっとなかよしになると考えたからです。
 ワシは一本の高い木の上に舞い上(まいあ)がって、そこでこどもをかえしました。
 キツネはその木のねもとのやぶにもぐり込(こ)んで、子ギツネをうみました。
 ところがある日、キツネがエサをさがに出かけた後で、食べ物がなくてこまったワシは、やぶをおそい、子ギツネをさらってきて、自分とヒナたちのごちそうができたとばかり、ぜんぶ食べてしまいました。
 かえってきて、るすのあいだのできごとを知ったキツネは、こどもをなくして悲しくてたまりません。
 でも、それよりも悲しいのは、しかえしすることができないことでした。
 なぜなら、キツネは空を飛ぶ鳥を、追いかけることができないからです。
 力のないものや、弱いものにできることは、せめて、遠くからかたきをのろうことだけです。
 キツネはそれで、がまんするしかありませんでした。
 しかし、どうでしょう。
 人間たちが、神さまにおそなえもののヤギを焼くためにおこした火が、強い風に吹(ふ)かれてワシの巣に燃え移り、ワシの巣のヒナは炎(ほのお)にビックリして、みんな地面に落ちてしまいました。
 それを見たキツネは、ワシにふくしゅうすることができたのです。

 友だちをうらぎるような人は、いつの日か、かならず罰(ばつ)をうける日が来ます。

おしまい

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