福娘童話集 小学生童話 6年生
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6年生の世界昔話

おじいさんとまご

おじいさんとまご
グリム童話 → グリム童話のせつめい

 むかしむかし、ひどく年をとったおじいさんがいました。
 目はボンヤリして、耳もよく聞こえません。
 おまけに、いつもひざがガタガタとふるえていました。
 テーブルにすわっても、もうスプーンをもつことができません。
 いつもスープをテーブルかけの上にこぼしました。
 また、口からもスープをこぼすのです。
 おじいさんの息子と、そのお嫁(よめ)さんは、そのことがいやでたまりませんでした。
 ですから、年とったおじいさんは、とうとう暖炉(だんろ)のうしろのすみっこにすわらなければならなくなりました。
 そのうえ、息子たちはおじいさんの食べものを土のさらに入れてやり、しかも、おなかいっぱいには食べさせませんでした。
 おじいさんの目は、ぬれていました。
 あるとき、おじいさんのふるえる手は、その土のさらを床(ゆか)におちてしまい、土のさらはこなごなにわれてしまいました。
 わかいお嫁(よめ)さんは、ブツブツと文句をいいました。
 おじいさんは、その日は何も食べさせてもらえませんでした。
 お嫁(よめ)さんはおじいさんのために、ほんのすこしのお金で、木の小ざらを買いました。
 おじいさんはその小ざらに入る分しか、食べさせてもらえません。
 ある日、四つになる小さいまごが、床(ゆか)の上で小さい板きれをあつめていました。
「おまえはそこで、なにをしているんだね?」
と、お父さんはたずねました。
「ぼく、これで小さなおけをこしらえるんだよ」
と、子どもはこたえました。
「ほう、上手なもんだね。でも、そんなちいさなおけを、なにに使うんだい?」
 お父さんのことばに、子どもがいいました。
「ぼくがおとなになったらね、お父さんやお母さんはこのおけでごはんを食ベるんだよ」
 これをきくと、息子とお嫁(よめ)さんは、しばらく顔を見あわせていましたが、とうとう二人とも泣きだしてしまいました。
 そして二人は、年とったおじいさんを、すぐにテーブルのところへつれてきました。
 このときから、おじいさんはいつもみんなといっしょに、ごはんを食ベることができました。
 そして、すこしぐらいこぼしても、みんなはなんともいいませんでした。

おしまい

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