お話し きかせてね <日本昔話朗読> 福娘童話集
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ふたりゆうれい

二人幽霊

♪音声配信(html5)
朗読者 ; ☆横島小次郎☆

 むかしむかし、あるお寺のお墓に、幽霊が出るとのうわさがありました。
 その幽霊は二人で、特に悪い事をするわけでもなく、ただ仲良く話し合うだけだそうです。

「幽霊が二人でおしゃべりするなど、聞いた事がない。・・・よし、おれが確かめてやる」
 うわさを聞いた男が、一人でお墓に行きました。
 やがて、草木も眠る、うし三つどき(→午前二時ごろ)。
 ヒソヒソッ、ヒソヒソヒソッ。
 どこからか、話し声が聞こえてきました。
 男が声をたよりに墓石の間をぬっていくと、小さな墓石のそばに男と女の幽霊がいて、手を取り合って言葉をかわしています。
 男の幽霊はまだ三十前ですが、女の幽霊は六十を過ぎたおばあさんでした。
(年の離れた親子、・・・いや、ばあさんと孫の幽霊かな?)
 男はじっと幽霊の話を盗み聞きしましたが、話の内容からすると二人は夫婦の様です。
「うわさ通りに幽霊がおしゃべりしているが、しかし夫婦にしては、こんなに年が違うのはおかしい」

 次の朝、男はお寺の和尚(おしょう)さんに昨日の事を話して、お墓まで来てもらいました。
「確かこの辺りの墓に、二人の幽霊が現れたのですが、・・・えーと、どの墓だったかな?」
 男が昨日のお墓を探していると、和尚さんが小さな墓石の前で足を止めて言いました。
「それはきっと、このお墓でしょう」
「ああ、それそれ、その墓だ。和尚さん、よければその墓のいわれを教えてくれませんか?」
 すると和尚さんは、男にこんな話をしました。
「このお墓は四十年近く前の物で、若い奥さんを残して死んだ男のお墓です。
 残された奥さんは長生きをして、数年前に六十を過ぎて死んでしまいました。
 奥さんの遺言で先に死んだ夫のお墓に埋めてあげましたが、奥さんには子どもも親類もいなかったので、誰もお参りに来てくれる者がおらず、未だに成仏できないでいるのでしょう」
 和尚さんの話を聞いて、男は二人の幽霊の年が違うわけがわかりました。
「死んで幽霊になっても仲むつまじくするなんて、うらやましい話だ。おれも、いい嫁さんを見つけなくちゃ」
 男は和尚さんに頼んで、二人が無事に成仏できるようにお経をあげてもらいました。

おしまい

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