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むかしむかし、あるお寺の床下に、タヌキが住んでいました。 このタヌキは頭の毛がうすい事から『はげダヌキ』と呼ばれていたのですが、何とこのはげダヌキは人助けが大好きなのです。 「困ったな。こうもお金がなくては、とうふをつくる豆も買えない」 「心配せずとも大丈夫。いつもおいしい油揚げをいただいている恩返しに、おいらが何とかしましょう」 そしてはげダヌキは、きんぴかのやかんに化けて自分を売るように言ったのです。 「これは良い買い物をした。全く素晴らしいやかんだ。もっとみがけば、もっと光るかもしれんぞ」 やかんに化けていたはげダヌキは、くすぐったいやら痛いやら。 「ああ、こんなツルツル頭では、恥ずかしくてどこにも行けないや。でも、とうふ屋に恩返しが出来て良かった、良かった」 おしまい |
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