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カエルになったぼたもち

カエルになったぼたもち

♪音声配信(html5)
朗読 : 佐々木久美子

 むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)さんたちの食べ物は、とても貧しいものでした。
 白いお米のご飯などは、めったに食べられず、いつもアワやヒエやイモを食べていました。

 さて、ある村に、あまり仲のよくない嫁さんとおばあさんがいました。
 二人は顔をあわせると、けんかばかりしています。
 朝に起きた時も、
「嫁のくせに、何て起きるのが遅いんじゃろう」
「ふん。年寄りは用もないのに早起きして、困ったものじゃ」
 そしてイモの入ったおかゆを食べる時も、
「おらの方が、イモがすくねえぞ」
「ちゃんと一緒の数を入れたさ。全く、おらより体が小さいくせにずうずうしい」
と、いつも悪口の言い合いです。

 そんなある日、急がしかった田植えがようやく終わりました。
「なあ、毎日毎日、イモがゆばかりじゃったから、たまには、うめえもんが食いてえのう」
 おばあさんがいうと、珍しく嫁さんも賛成しました。
「そうだな。田植えも終わった事だし、今日は、ぼたもちでもつくるべか」
「なに〜っ、ぼ、た、も、ち、じゃと。それはいい。すぐつくるべえ」
 いつもは悪口を言い合う二人ですが、今日は仲良しです。
「それでな、ゆんべ夢の中で、ぼたもちを見たんじゃよ。そして食おうとすると、どんどん消えてしもうてな」
「夢の中でまでぼたもちが出てくるとは、食い意地のはったばあさまじゃな。アハハハハハッ」
「ところで、アズキはあるのけ?」
 おばあさんが心配そうに聞くと、嫁さんは胸をドンと叩きます。
「あるともさ。こんな時の為に、ちゃんとしまっておいたんじゃよ」
「そうか。お前は大した嫁じゃ」
 こうして二人は、仲良くぼたもちを作り始めました。
 まず、米をたきます。
 次に、アズキを煮ます。
 そして、米をつきます。
 最後に餅(もち)を丸めて、あんこをつけます。
「出来たぞ。さあ、味見をするべえ」
「ばあさん、一人で味見をするのはずるいぞ」
「じゃあ、二人で一緒に味見をするか」
 二人は笑い合いながら、声をそろえて言いました。
「うめえ」
「うめえ」
 二人は夢中になって、ぼたもちを食べ始めました。
「ばあさん、いくつ食った?」
「おらは、五つ、・・・いや三つじゃ。おめえはいくつじゃ?」
「おらは、六つ、・・・いや三つじゃ」
 二人はまた、パクパク食べ始めました。
「ふわっ、もう食えねえ。お腹がわれそうだ」
 嫁さんは食べるだけ食べると、隣の部屋に行ってしまいました。
 おばあさんが見ると、一つだけぼたもちが残っています。
 おばあさんは、そのぼたもちをなべに隠しながらぼたもちに言いました。
「ええか、ぼたもちよ。嫁の顔を見たら、カエルになるんだぞ」
 この様子を、嫁さんはしょうじのすきまから見ていたのです。

 次の日、嫁さんは朝早くに起きると、なべの中のぼたもちを食べてしまいました。
「ああ、うまかった。さて、ぼたもちの代わりに、このカエルを入れておいてと」
 嫁さんは、なべの中にカエルを入れて知らんぷりです。
 さて、そうとは知らないばあさんは、嫁さんが田んぼに行ったすきになべのふたを開けました。
 するとカエルが、ピョーンと飛び出しました。
 おばあさんは、カエルにあわてて言いました。
「これ、待て、ぼたもち。わしじゃ、嫁じゃないぞ。待て、待て」
 しかしカエルは田んぼに逃げ込んで、どこかへ消えてしまいました。
「わ〜ん、おらのぼたもちが、泳いで行ってしもうただ〜」

おしまい

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