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みそのにおい

みそのにおい

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朗読者 月猿

 むかし、あるところに、おばあさんがいました。
 おばあさんは、ためたお金をどろぼうに取られてはたいヘんと、みそがめのそこにかくしておきました。
 ところがある日、おばあさんがちょっと家をあけたすきに、みそがめのそこのお金を、全部ぬすまれてしまったのです。
「どうか、どろぼうをつかまえてください」
 おばあさんは、町奉行(まちぶぎょう)の大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ)にうったえました。
「よしよし、まかせておきなさい」
 越前守(えちぜんのかみ)は、おばあさんの家の近くに住んでいる人たちを集めて、
「この中に、どろぼうがおる。犯人はみそがめのお金を取るとき、みそをかきまわしたはずじゃ。みそに手をつっこむと、半年は、においがなくならん。かくしても、しらべればすぐにわかるぞ」
と、いいました。
 すると、うしろのほうにすわっていた男が、そっと手を出して、においをかいでいます。
 越前守の話しを聞いて、みそのにおいがついているかどうか、心配になったのでしょう。
「その男をひっとらえよ」
 越前守は、こうして犯人(はんにん)をつかまえ、ぬすまれたお金をおばあさんにかえしてあげたのです。
「うむ、これにて、一件落着!」

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