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福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読
赤ん坊と泥棒(どろぼう)
岡山県の民話 → 岡山県情報
むかしむかし、泥棒(どろぼう)が、ある家の天井裏に忍び込みました。
下を見ると、お父さんとお母さんと赤ん坊が眠っています。
昼間の仕事の疲れからか、お父さんとお母さんは起きる気配がありません。
「しめしめ、よく眠っているぞ」
泥棒が安心して下へ降りようとすると、まん中に寝ていた赤ん坊が、ぱっちりと目を開けました。
「しまった」
泥棒は、あわてて天井裏へ戻りました。
すると赤ん坊が、今にも泣き出しそうな顔でこっちを見ています。
「弱ったぞ。こんなところで泣かれては大変だ」
そこで泥棒は、ペロリと舌を出しました。
そのとたん、赤ん坊はにっこり笑いました。
「よしよし、いい子だ」
次に泥棒は口をとがらせて、ひょっとこのお面みたいな顔をしました。
それを見て、赤ん坊はまた笑いました。
「あははは。何て可愛い赤ん坊だ」
泥棒はこの赤ん坊がすっかり気に入って、手を動かしたり、おもしろい顔をして見せたりと、仕事も忘れて赤ん坊をあやしていました。
「コケコッコー!」
そのうちに一番どりが鳴き出しました。
気がつくと、外はだいぶん明るくなっています。
「しまった。夜が明けてしまった」
泥棒は赤ん坊に手を振ると、何にも取らずに逃げて行きました。
おしまい
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