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7月23日の日本の昔話

なぞなぞ絵てがみ

なぞなぞ絵てがみ

 むかしむかし、ある町の店に、村からきたおよめさんがいました。
 はたらきもので、気だてもよく、もうしぶんないのですが、あいにく文字のよみかきができません。
 ある日、このおよめさんが、ひさしぶりに村のおっかさんのところへ、さとがえりすることになりました。
 おかみさんに、みやげをもたせた夫は、
「ちょっとまちなさい。おっかさんに、てがみをもっておゆき」
と、ふでと紙をとりました。
「うちのおっかさんも、よみかきができません。すみませんが、字てがみでなく、絵てがみにしてください」
「わかった。じゃあ、絵てがみにしたよ」
 夫は紙に、『一升ます』と、『草かりがま』と、『女の人のきものにかみつきそうなイヌ』を、サラサラッと絵にして、およめさんにわたしました。
「おっかさん、ただいま」
「まあまあ、よくかえってきてくれたこと。ゆっくりしていっておくれ」
「夫はやさしくしてくれるし、お店ははんじょうしているし、まい日がたのしくてね。つい、かえるのがおそくなって・・・」
 およめさんは、つもる話をしてから、
「そうそう、夫から、絵てがみをあずかってきましたよ」
と、おっかさんに、てがみをさしだしました。
「はて、『一升ます』と、『草かりがま』と、『女の人のきものにかみつきそうなイヌ』・・・? なんのことやら、よみとれませんよ」
 そこで、おっかさんとおよめさんは、となりのものしりじいさんに、よみといでほしいと、たのみにいきました。
 すると、
「ふむ、ふむふむ。気のどくじゃが、これは、りえん(りこん)状じゃよ」
と、いわれて、ビックリ。
「まさか、そんなこと・・・。でも、・・・そんなあ」
 およめさんはかなしくなり、シクシクと、なきだしました。
「なにかのまちがいです。ちゃんと、ときなおしてください」
「ちゃんともなにも、いいか、『一升ます』は、一生のこと。『草かりがま』と『イヌ』で、かまわん、となる。つまりだ、『おまえのことは、一生かまわんから、かえってこなくていい』と、いうことじゃ。気のどくになあ」
「うわーん!」
 およめさんは、あまりのことになきくずれてしまい、それからまい日なきくらしていました。
 そんなある日、夫が町からたずねてきました。
「いつまでも、かえってこないので、びょうきにでもなったのかと、しんぱいしてでかけてきた。いったい、なにをメソメソないているんだい」
「だっ、だって、絵てがみで『一生かまわん』と、あたしをりえんしたではありませんか」
「ああ? なにをいうのだ! イヌの絵を、よくみたのか? イヌが、女のきもののすそをかもうとしておったろうが。これはつまり、『おまえのことは、一生かまう(だいじにする)』とのいみで、りえん状などではない」
 これをきいて、およめさんは、
「まあ、うれしい!」
と、夫にだきつくと、手に手をとって、町へもどっていきました。
 おしあわせに。

おしまい

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