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 けちがね屋けちべえ
 東京都の民話 → 東京都情報
  むかしむかし、江戸の町に、駄菓子(だがし)を作って売っている駄菓子屋がありました。この駄菓子屋では、『ねぢがね』と呼ばれる、ねじり菓子が大人気です。
 そこで駄菓子屋の主人のじんべえは、『ねぢがね屋じんべえ』と呼ばれていました。
 
 このじんべえは、けちでも有名で、もらう物なら馬の食べ残しでも喜んでもらうのに、出す物は家の仏さまにあげるお線香さえ、おしがっていたのです。
 まあ、それだけならよいのですが、
 「おじちゃん。ねぢがね、ちょうだい」
 と、やって来る子ども相手に、お菓子の数やおつりをごまかして、
 「はやく大通りに、立派な店を構えたいもんだ」
 と、お金を貯め込んでいたのです。
 こんな事ですから、お客たちはじんべえの事を、『けちがね屋けちべえ』と言っていました。
 
 ある日の事、じんべえが店の奥の部屋でお金を数えていると、この辺では見かけない、ひどく腰の曲がったおばあさんがやって来て、
 「ねぢがね屋じんべえは、おるかい?」
 と、店ののれんをくぐると、おかみさんが止めるのも聞かずに、じんべえの前へとやって来たのです。
 そして年寄りとは思えないほど、怖い声で叫びました。
 「じんべえ、迎えに来たぞ!
 お前の様な悪人は、わしが地獄へ連れて行ってやる。
 今までの罪を、地獄でつぐないがいい」
 「なんだと! 縁起でもない事を言うばばあだ。つまみ出してやる!」
 じんべえがそう言って立ち上がったとたん、じんべえは白目をむいてバタリと倒れてしまい、そのまま死んでしまいました。
 そしておばあさんは死んだじんべえをひょいと肩に担ぐと、そのままどこかへと消えてしまったそうです。
 おしまい   
 
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