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福娘童話集 > お話し きかせてね > 江戸小話の朗読
日本のすずめ
お城ヘ出入りしている商人が、中国から来たすずめを手に入れました。
すずめは全部で、六羽います。
中国のすずめは大変珍しいので、殿さまに献上(けんじょう→さしあげること)することになりました。
ところがこの殿さまは、とてもえんぎをかつぐお方です。
めでたい数でないと、どんなに珍しい物でも喜びません。
「まずいな。殿さまに献上するなら、七・五・三のどれかでないとまずい。しかしいくら数えても、六羽しかおらんわ」
商人は、しばらく考えておりましたが、
「ええ、ままよ」
と、日本のすずめを一羽足して七羽にして、殿さまに献上いたしました。
「おお、これは珍しい」
殿さまは大変ご機嫌で、一羽一羽、念入り(ねんいり)にながめていましたが、
「はて、中国のすずめと申しながら、日本のすずめが一羽まじっておるぞ。どうした事じゃ?」
と、尋ねてきました。
「そっ、それは・・・」
商人が返事を出来ずに困っていると、日本のすずめが小さな口を開けて言いました。
「お殿さま。わたくしは、通訳(つうやく)でございます」
おしまい
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