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福娘童話集 > お話し きかせてね > 江戸小話の朗読
きびだんご
桃から生れて鬼退治をした有名な桃太郎さんの、その後のお話でございます。
鬼ヶ島(おにがしま)での活躍ですっかり有名になった桃太郎さんは、鬼からうばい取った宝物を売って殿さまの様な生活をしていましたが、ついに手持ちの宝物がなくなってしまいました。
そこで桃太郎さんは、おじいさんとおばあさんに言いました。
「すみませんが、また、きびだんごを作ってもらえませんか。今度は竜宮(りゅうぐう→海の底にある竜神のすみか)ヘ行って、竜宮の宝をたっぷりいただいてまいります」
「よしよし、がんばって、宝物をどっさり持って帰るんだよ」
桃太郎さんは作ってもらったきびだんごを腰に下げると、家を出ました。
桃太郎さんがしばらく行くと、
ウキーッ、ウキキキー。
と、サルがやって来ました。
「桃太郎さん、桃太郎さん。お久しぶりです。今度は、どちらヘおいでですか?」
「おおっ、サルどのか。実は竜宮へ、宝物を取りに行くのだ」
「へーっ。今度は、竜宮ですかい。
あそこには、珍しい宝物が山のようにあると聞きますからね。
して、れいの物はありますか?」
「もちろん。
さあ、日本一のきびだんごだ。
一つやるから、おともせい」
桃太郎は腰の袋からきびだんごを一つ出して、サルにやりました。
サルはきびだんごを手にとって、不思議そうにながめてから言いました。
「桃太郎さん。このきびだんごは前のに比べると、ずいぶんと小さくなりましたねえ」
「うん。近頃は、なにもかも値上がりでな」
おしまい
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