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福娘童話集 > お話し きかせてね > 江戸小話の朗読
こじきのほこり
橋の下で、一人のこじきが目を回して倒れていました。
仲間のこじきたちは驚いて、
「どうした、どうした。気分が悪いのか?」
と、聞くと、
「気分が悪いのではないが、ここ二、三日というもの、全く、おもらい物がないのだ。だからもう、腹が減って、腹が減って、とうとうぶっ倒れてしまった」
と、言うのです。
そこで仲間のこじきたちは、
「お前も水くさいやつだな。目を回すほど腹が減っているんなら、なぜ言わねえんだ? 言えば少しぐらい分けてやったものを。さあ、もらい物で悪いが、このにぎり飯を食え」
と、言うと、目を回したこじきはまじめな顔をして言いました。
「バカも休み休みに言え。たとえこじきはしても、人から物をもらうつもりはねえ!」
おしまい
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