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ダルマの神さま

ダルマの神さま
山形県の民話山形県情報

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朗読 : ぬけさくのいちねん草紙

 むかしむかし、達磨寺(だるまじ)というお寺があって、色のはげ落ちたダルマがまつられていました。
 毎年夏になると、達磨寺に子どもたちがやって来て、
「ダルマさん、おらたちと遊んでくれろ」
と、ダルマを川にかついで行って、水に浮いたダルマを相手に暗くなるまで遊ぶのでした。

 そんなある日の事、子どもたちは遊ぶのに夢中で、寺へダルマを返しに行くのを忘れてしまいました。
 ダルマは一人ぼっちで川に浮いていましたが、そのうちに川の流れにのって、三日目には酒田(さかた)という浜辺へ流れ着きました。
 色のはげ落ちた汚いダルマを見ても、浜辺の人たちは誰もひろおうとはしません。
 でも、そこを通りかかった村の庄屋(しょうや)さんがダルマを見つけて、
「おおっ、これはかわいそうに。ダルマさま、どうかわたしの家に来てくだされ」
と、家に持って帰って床の間にかざっておいたのです。

 それから数日後、庄屋さんの夢に、あのダルマが現われました。
「わしの村で、はやり病が出て村人が困っておる。
 すまんがわしを背負って、わしを家まで連れて帰ってくれ。
 わしの家は川をのぼって行ったところにある、大きな彼岸桜のある寺じゃ。
 わしを連れて帰ってくれれば、その礼にこの村ではやり病が出た時は必す治してやろう」
 目を覚ました庄屋さんは、床の間にかざったダルマに手を合わせました。
「ただのダルマさまではないと思っていたが、それほど力のあるダルマさまだったとは。よし、さっそくダルマさまの願いを聞いて差し上げねば」
 庄屋さんはさっそく旅じたくをすると、ダルマさまを背負って大きな彼岸桜のあるお寺を探しました。
 そして無事に、達磨寺のお堂にダルマをおさめたのです。
「おおーっ、ダルマさまが戻ったぞー!」
 はやり病で苦しんでいた村人たちは、さっそく村人全員でダルマをおがみました。
 すると村人のはやり病は、たちまち治ってしまったのです。
 それからこの村人と、ダルマを運んできた庄屋さんの酒田の村人は、自分の村にはやり病が出るとダルマにお願いしてはやり病を治してもらったそうです。

おしまい

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