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カッパの贈り物
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むかしむかし、一頭のウマが川辺で草を食べていると、川の中からカッパが現れました。
カッパはウマのたずなを自分の体に結びつけると、ウマを川に引きずり込もうとしました。
「ヒヒーン!」
びっくりしたウマは、近くのお百姓(ひゃくしょう)の家に飛び込みました。
「なんだ! なんだ!」
ウマが急に飛び込んで来たので、おどろいた家の人がウマを調べると、たずなの先に目を回したカッパがぶらさがっていました。
「はは〜ん。カッパが、また悪さをしようとしたな。もう二度と悪さが出来んように、頭の皿を割ってやる!」
お百姓がカッパの頭の皿をなぐりつけようとすると、目を覚ましたカッパが手を合わせて命ごいをしました。
「頭の皿を割られては、死んでしまいます。もう二度と悪さはいたしませんから、どうか助けてください」
お百姓はカッパの頭の皿を割るのはやめましたが、こらしめるために縁側(えんがわ)の柱にしばりつけておきました。
その日のタ方、お百姓の娘がウマに水をやろうと、水を入れたおけを持ってやって来ました。
そして足をつまずいて、おけの水をカッパの頭にかけてしまったのです。
カッパにとって水は、元気のみなもとです。
頭のお皿に水がたまったカッパは元気を取り戻すと、しばられていたつなを引きちぎって逃げてしまいました。
さて、それからしばらくして、お百姓の娘がお嫁に行く事が決まりました。
家の人がふと見ると、縁側にお酒の入ったたるが置いてありました。
「あら、祝いの酒だわ。誰からかしら?」
次の朝は、大きくて立派なタイが三匹も置いてありました。
「今度は、祝いのタイだわ。本当に、誰からかしら?」
その晩、不思議に思った家の人が、物かげにかくれて縁側を見張りました。
するとこの間のカッパが現れて、今度は水神さまのお札(ふだ)を置いていったのです。
娘に助けられたと思ったカッパが、娘の嫁入りの祝いを持って来ていたのです。
それからもカッパは色々な祝いを持ってきましたが、うわさを聞いた大勢の村人がカッパを見に来るようになったので、それに気づいたカッパは二度と現れなくなったそうです。
おしまい
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