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9月21日のイソップ童話
  
  
  
メンデレス川の岸のキツネたち
   ある日のこと、キツネたちが水を飲もうとして、トルコのメンデレス川の岸にあつまってきました。
   けれども川は、ごうごうと音を立てて、はげしいいきおいで流れているので、キツネたちは、
  「おまえが先に入れよ」
  「いや、おまえだ」
  と、おたがいにいいあうだけで、みんな入ろうとはしませんでした。
   そのとき、一匹のキツネが、
  「みんな、いくじなしだなあ」
  と、大きな声で、なかまをののしりました。
  「おれはおまえたちみたいにおくびょうではないぞ。見ていろ」
  と、そのまま川に飛び込みました。
   たちまちキツネは流れにさらわれて、川のまん中までひきこまれました。
   岸にのこったなかまのキツネは、
  「おーい、おれたちをおいてきぼりにしないでくれよ。もどってこいよ。どのへんなら安全に水が飲めるかおしえてくれよ」
  と、さけびました。
   しかし、いばりやのキツネは、流れにさらわれながらこう答えました。
  「おれは川口のミレトスの町にことづてをたのまれているんでね。あそこまでいってくるよ。かえってきたら、みんなに水飲みの場所をおしえてやるから」
  
   このお話しは、からいばりをして、わざわざ危険な事をする人をたとえています。
おしまい