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11月11日の小話
手足のけんか
ある日、手と足がけんかをしました。
「おまえは、すぐひざの上にのる。まったく、うっとうしいやつだ」
と、足がいうと、手は、
「なにをいっているんだ。兄弟にたとえてみれば、おれが上にあるから、手は兄にあたるんだぞ。おれがいなければ、商売もできないんだ」
「自分につごうの、よいことばかりいうな。この足さまがいなけりゃあ、商売に歩いて出ることもできまい」
負けずに足がいうと、手は、
「そういうなら、命をつなぐ食べものは、手で食べるんだぞ。足では口へ持っていけまい」
足も、このひとことにはかえす言葉もなく、
「・・・それは、おまえのいうとおりだ。だが、おぼえておけ。今度、クソをふんづけて、おまえにふかせてやるからな」
おしまい
イソップ童話にも、似たような話しがあります。
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胃袋と足