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2015年3月23日の新作昔話

お月とお星

お月とお星

 むかしむかし、あるところに、お月とお星という名前の姉妹がいました。
 お月はお父さんが最初に結婚した奥さんの子どもですが、お星はお父さんが二番目に結婚した奥さんが連れてきた子どもです。
 そんなわけで二人は姉妹と言っても血がつながっていませんが、本当の姉妹以上に仲良しでした。
 けれどお星の母親は、自分の血がつながっているお星ばかりを可愛がって、血のつながっていないお月をとても嫌っていたのです。

 ある日の事、新しいお母さんは、夜になったらお月を包丁で殺してしまおうと、包丁をといでいました。
 それを見た妹のお星は、
(このままでは、お月姉さんが殺される)
と、思い、お月の部屋に行くと、
「お月姉さん。今夜は二人でおしゃべりしながら、わたしのふとんで寝ましょう」
と、お月を自分の部屋のふとんに寝かせたのです。
 そして、お月のふとんには代りにスイカを入れておきました。
 さて、娘たちが寝静まった真夜中、お母さんは足音を忍ばせてお月のふとんに近づきました。
 そしてふとんが盛り上がっているところを目掛けて、ブスリ、ブスリと、ふとんの上から包丁を何度も突き刺したのです。
「うふふ。これでわたしの子どもは、可愛いお星一人」
 しかし朝になると、お月が何事もなかったように起きてきたので、お母さんはあわててお月のふとんを見に行きました。
 するとふとんの中身は、グチャグチャに潰されたスイカだったのです。
 こうして、お月は、お星に救われたのですが、この事でお母さんは、お月をもっと憎むようになり、今度は石の箱に生きたまま閉じ込めて、山に埋めてしまおうと考えました。
 お母さんと石屋の会話からその事を知ったお星は、ひどい母さんに涙を流しましたが、けれど、お星にはお母さんを止める事は出来ません。
(どうすれば、お月姉さんを助ける事が出来るのかしら)
 考えたお星は、お母さんが石の箱を作らせている石屋をたずねて、
「お母さんの使いで来ました。石の箱の底に、小さな穴を開けてくださいな」
と、言いました。
 そしてお月には、ケシの実が入った袋を渡して、
「お月姉さん。これを肌身離さず持っていてください。必ず役に立つはずですから」
と、言いました。
 それからしばらくしたある日、お母さんはお父さんが仕事で家にいない日を見計らって、お月を石の箱に閉じ込めました。
 そして人をやとって、その石の箱を山に埋めに行ったのです。
 閉じこめられたお月は、石の箱に小さな穴が開いているのに気がついて、妹がくれたケシの実を少しずつ穴から落としていきました。
 でも、それが何の役に立つかは、お月も分かりません。
 やがてお母さんたちは山に着くと、お月の入った石の箱を地面深くに埋めて、さっさと帰ってしまいました。

 やがて冬が過ぎて春になると、お月が落としたケシの種が芽を出して、美しい花を咲かせました。
 お星は花をたどって姉が埋められている場所を探し当てると、地面を掘り返してみました。
 するとそこには石の箱があり、中を開けてみると、骨と皮ばかりになったお月が生きていたのです。
 けれど、このままお月を家に連れて帰れば、また母親がお月をひどい目にあわせると思って、二人はどこへともなく歩いて行き、いつしか天にたどり着いて、夜空に輝く月と星になったのです。

おしまい

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