福娘童話集 > きょうの新作昔話 >結婚式まで待つオオカミ
2017年 2月13日の新作昔話
結婚式まで待つオオカミ
イソップ童話 → イソップ童話とは?
オオカミが、うっかり家の外で寝ているイヌを捕まえました。
捕まったイヌは、涙を流しながらオオカミに言いました。
「もうすぐこの家で、結婚式があります。
結婚式ではたくさんのご馳走がふるまわれ、わたしもご馳走のおこぼれにあずかれます。
私を食べるなら、そのあとにしてもらえませんか?
それなら、私は死ぬ前にご馳走を食べる事が出来ますし、あなたは今よりも太ったわたしを食べる事が出来るので、私もあなたも得です」
「うむ・・・」
オオカミが家の様子を見ると、この家では本当に結婚式の準備をしていました。
「よし分かった。どちらも得をするなら、それがいいな」
オオカミは、
「結婚式が終わったら、また来る」
と言って、イヌを放してやりました。
数日後、オオカミはこの家へとやって来ると、家の中で寝ているイヌに言いました。
「約束通り、結婚式が終わるまで待ってやったぞ。さあ、今度はお前が約束を果たす番だ」
するとイヌは、家の中からオオカミに言いました。
「やあ、これはこれは、私のお友達のオオカミさんではありませんか。
お友達のあなたに、良い事をお教えしましょう。
今度私がうっかり家の外で寝ていたら、その時は結婚式まで待ってはなりませんよ」
経験は、人をより賢くします。
このオオカミは『うまい話にはリスクがある』と、覚えた事でしょう。
おしまい
|