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2018年12月17日の新作昔話
竹の子のおとむらい
一休さんのとんち話 → 一休さんについて
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
一休さんのお寺の竹やぶの隣にはお屋敷があり、最近、お侍が引っ越してきました。
ある日の事、一休さんが庭そうじをしていると、
隣の侍が竹の子の皮をザルに入れてきて、こう言ったのです。
「こやつらは、わしの屋敷にあいさつもなしに生えてきよった。
武士の屋敷に勝手に入るとは、まこと無礼な奴。
よってこのわしが、刀にかけてやった。
無礼者の体は、このわしがとむらってやる。
だから残った着物は、お前のところに返してやろう」
それを聞いて一休さんは、腹を立てました。
(お寺の竹の子をひとりじめして、いらない皮だけ持って来るなんて! ようし、みていろ)
一休さんがお侍の屋敷に行くと、ちょうど竹の子がゆであがるところでした。
一休さんは、ぺこりと頭を下げて、侍のところへ行くと言いました。
「お侍さま。たとえ竹の子であっても、命ある物はお経をあげてとむらってやらねばなりません。
ですから、この竹の子の体を、お寺に持って帰りますね」
「なぬっ?」
「それともお侍さまが、竹の子の為にお経をあげてくださいますか?」
「いや、それは・・・」
お侍はお経の言葉を知らないので、仕方なくゆであがった竹の子を一休さんに差し出して言いました。
「わかった。持って帰るがよい。
・・・そうか、お前があの一休だな」
こうしてゆでた竹の子を手に入れた一休さんは、お寺で簡単なお経をあげると、
あとはみんなでおいしく食べたのでした。
おしまい
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