福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 

福娘童話集 > きょうの新作昔話 >クモにされた女の子

2020年10月12日の新作昔話

クモにされた女の子

クモにされた女の子
ギリシアの昔話 → ギリシアの国情報

♪音声配信(html5)
音声 まちゃりんの読んだり~の♪

 むかしむかし、ギリシアの国に、たいそうはたおりの上手な女の子がいました。
 女の子の名前は、アラクネと言います。
 アラクネは、毎日毎日、はたおり機の前に座って、色々なもようの布をおりました。
 アラクネのおるおり物の美しさは大変な評判(ひょうばん)で、国中に知れ渡りました。
 いや、国中どころか、外国にまで有名になりました。
 そして遠くの国からも、わざわざアラクネのはたおりを見に来る人もいたのです。
「まったく、アラクネのおり物ときたら、すばらしい」
「もようの美しさは、目が覚める様ね」
「世界一のおり物だ」
 みんながほめるので、アラクネは得意になって、いばるようになりました。
「その通り。世界中で、あたしぐらいはたおりの上手な者はいないでしょう。はたおりの神さまのアテナさまだって、あたしほど上手におる事は出来ないわ」
 そのうわさを聞いたアテナは、
「なんてうぬぼれの強い子だろう。よし、わたしが行って、たしなめてやろう」
と、言いました。
 そしておばあさんに姿を変えると、アラクネの家へ行きました。
「なるほど、お前さんはなかなかはたおりが上手だね。大したもんだ。でもね、いくら上手だからって、神さまをバカにしてはいけないよ」
 アテナが言うと、アラクネはいばって言い返しました。
「だって、あたしはアテナさまよりうまいんですもの。うそだと思うなら、競争(きょうそう)してもいいわ」
「何を、なまいきなっ!」
 アテナは、パッと元の姿になりました。
「さあ、わたしとはたおりの竸争をしよう」
「いいわ。あたしの腕前を見せてあげる」
 アテナとアラクネは、はたおりの競争を始めました。
 二人とも、ものすごい勢いで布をおりはじめました。
 どちらも負けるものかと、夢中で布をおります。
 やがて二人とも、すばらしい布をおりあげました。
 アテナのおったもようは、美しい神さまの姿でした。
 ところがアラクネのおったもようは、神さまたちがけんかをしている様子でした。
「お前は、よくも神さまをバカにしたね!」
 アテナはカンカンに怒って、アラクネのおった布をズタズタに引き裂くと、アラクネの頭をつえで三回叩きました。
 すると、どうでしょう。
 アラクネの体はみるみるうちに小さくなり、フサフサと美しかった髪の毛もなくなり、お腹がふくらんできました。
 そして、手や足は八本になりました。
 おまけに、毛むくじゃらです。
 アラクネは、みにくいクモにされてしまったのです。
「うぬぼれのおバカさん、そんなにじまんするのなら、いつまでもはたをおっているがいい」
 アテナはそう言って、クモになったアラクネをにらみつけました。

 クモになったアラクネは今でも銀色の糸を出して、一生懸命はたをおっているのです。

おしまい

前のページへ戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
121212121212121212