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2022年10月10日の新作昔話

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先うなぎの天登り
イラスト  朗読パーク NPO声物園チャンネル

うなぎの天登り

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

語り 「中島なおみ」  朗読パーク NPO声物園チャンネル

♪おはなしをよんでもらう(html5)
朗読 : 悠が童話を読んでみます

 ある日、江戸っ子の三吉(さんきち)が川へ釣りに出かけて、大きなうなぎを釣り上げました。

うなぎの天登り

「こいつは、大物だ」
 三吉は、さっそくうなぎの口から針を抜いて片手でつかもうとすると、うなぎはぬるっと上へ逃げます。
「逃げすもんか」

うなぎの天登り

 急いでもう片方の手でつかむと、また上へぬるりと逃げます。
 あわててまたもう一方の手でつかまえると、またぬるりと上へ。

うなぎの天登り

 上へ上へとうなぎが逃げるので、三吉も上へ上へとうなぎをつかまえていると、だんだんうなぎにつられて空に登って行ってしまいました。

うなぎの天登り

 それからたちまち、一年という月日がたってしまいました。
 あれっきり、三吉は帰ってきません。
 長屋の者たちが集まって、
「三吉は、もう死んじまったろう」

うなぎの天登り

と、葬式(そうしき)を出しているところへ、空から手紙がひらひらと落ちてきました。

うなぎの天登り

 読んでみると、
《去年の今日、うなぎと一緒に天に登ったが、なかなかしぶとい奴で、まだ、うなぎを追いかけて上へ上へと登っている。三吉より》
と、あり、すみっこのほうには、

うなぎの天登り

《三吉は、うなぎをつかんでいて手が放せないから、代筆(だいひつ→本人の代わりに書くこと)をした。天のカミナリより」
と、書いてありました。

おしまい

うなぎの天登り

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