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2023年10月16日の新作昔話

酸っぱいぶどう
制作 「ハブルータ・Havruta


3人のレンガ職人

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

制作 「ハブルータ・Havruta

ひとりの、心優しい旅人がいました。
旅先で出会う人々の話に耳をかたむけ、気持ちに寄りそいながら、世界中をまわりました。

ある日、訪れた町を歩いていると、平らにならされた広い土地に出ました。
職人たちが、それぞれの持ち場でレンガを積んでいます。
旅人は、声をかけてみることにしました。
「何をしているのですか?」
一人目の職人は、疲れきった顔で答えました。
「何って、見ての通りレンガ積みですよ。腰は痛いし、手はこのとおり」
男はひび割れて汚れた両手を差し出して見せました。
「大変ですね」
「でも、生活のために仕方ないんです」
旅人は 彼をかわいそうに思い、いたわりの言葉をかけました。
少し歩いて、二人目の職人に声をかけました。
「何をしているのですか?」
彼は汗をふきながら答えました。
「大きな壁を作っているんです」
「大変ですね」
「確かに大変な仕事です。でも、そのおかげで家族みんなが食べていけるんですから、ありがたいんです」
旅人は 彼をねぎらい、はげましの言葉をかけました。

そして、三人目の職人に尋ねました。
「何をしているのですか?」
彼は目を輝かせながら答えました。
「私たちは、大聖堂を造っているんです!」
「それは素晴らしいお仕事ですね」
「そうなんです。将来ここに多くの人が集まって、天国みたいに喜んでいるのを想像すると、もう仕事をしながらワクワクします」
旅人は感動し、彼から大きな力をもらいました。

そして10年後、
旅人は再びあの町を訪れました。
(大聖堂の鐘の音がきこえる)
レンガを積み始めたばかりだった土地には、すでに立派な大聖堂が建ち、多くの人々が集う喜びと安らぎの場所になっていました。

すこし行くと、大聖堂を見上げている人がいたので、声をかけました。
「素晴らしい大聖堂ですね」
すると、彼は旅人に語り始めました。
「実は、私はここで 最初 いやいや仕事をしていたんです。
でも、この仕事に 大きな夢をもった 一人の職人がいました。
彼は毎日、夢を熱く語り続けたんですよ。
いつの間にか、私も みんなも 彼と同じ夢を見るようになりました。
大聖堂が完成した時には、それはもうみんな大喜びでした。
見てください、ここにいる人たちの笑顔を!
見てください、この平和な町を!」
旅人は、キラキラと目を輝かせていた職人のことを 思い出していました。
『あなたの夢は みんなの夢となり、ついに成し遂げたのですね。
あなたのことは 歴史が記憶するでしょう』
旅人は荷物を下ろし、長い旅を終えました。
そして、ここで 末永く幸せに暮らしました。

おしまい

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