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2023年11月6日の新作昔話

青い鳥
制作 「ハブルータ・Havruta


青い鳥

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

制作 「ハブルータ・Havruta

クリスマスイブの夜、
木こりの家の子どもチルチルとミチルの兄妹は、お向かいの家のパーティーの様子を、うっとりと部屋の窓からながめていました。
華やかに飾られた大きなツリーや、食べきれないほどのごちそうが、二人の目にはまぶしく映ったのです。
そんな二人の前に、どこからか突然、魔法使いのおばあさんが現れました。
「おまえたち、青い鳥を知らないかい? この家におらんかのう?」
「おばあさん、うちにはお父さんが捕まえてくれたキジバトならいますが、青くはありません」
チルチルがそう答えると、おばあさんは二人に言いました。
「孫の病気を治すために、幸せを運ぶ青い鳥が必要なんじゃ。私の代わりに見つけてきてくれんかのう」
心優しいチルチルとミチルは、〝青い鳥探し″を引き受けることにしました。
すると、おばあさんはチルチルにダイヤモンドの付いた不思議な帽子を渡しました。
「それをかぶってダイヤモンドを回してごらん」
チルチルがダイヤモンドを回すと、部屋の中は一変しました。
いつもと違ってキラキラと輝いて見えるのです。
テーブルの上にあったランプは、光の精へと姿を変えました。
「さぁ、幸せの青い鳥を探しに行きましょう」
光の精は、チルチルとミチルを冒険の旅へといざないました。

最初に向かったのは『思い出の国』でした。
亡くなったはずのおじいちゃんとおばあちゃんが、あたたかく迎えてくれました。
「おじいちゃん~」
「おばあちゃん~」
おじいちゃんとおばあちゃんのもとへと、かけ寄りました。
「会いたかったよ」
涙を流して喜ぶチルチルとミチルに、おじいちゃんは答えます。
「私たちを思い出してくれさえすれば、いつでも会うことが出来るんだよ。
いつもおまえたちのすぐそばにいるんだからね、忘れないでおくれ」
優しさにあふれたこの国なら、きっと青い鳥はいるはずだ。
「この鳥のことかね? 持っていきなさい」と、奥の部屋からかごに入った青い鳥を持って来てくれました。
二人は喜びました。
「お兄ちゃん、青い鳥が見つかったね」
「そうだね!おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう!!」
二人は別れを惜しみながらも、青い鳥を手に急いで家へと向かいました。
ですが、何ということでしょう。
思い出の国を出ると、青い鳥は黒い鳥に変わってしまいました。
がっかりしている二人を、光の精が励まします。
「青い鳥に見えて、青い鳥でないものもあるのよ。さあ、次に行ってみましょう」
光の精にみちびかれ、『夜の宮殿』へとやって来ました。
そこは真っ暗な闇の世界です。
宮殿には沢山の部屋があり、全ての部屋に頑丈な鍵がかけられています。
大きな鍵の束を持った夜の女王が、扉の番人をしていました。
チルチルは、夜の女王の前に進み出ました。
「青い鳥を探しています。部屋の中を探してもいいですか?」
「部屋には人間を苦しめてきた秘密が閉じ込められているんだ。そんな所に青い鳥がいると思うかい?」
それでもチルチルは夜の女王から鍵を貸してもらい、一つ一つの扉を開けて青い鳥を探しました。
病気、争い、傲慢、無知、自己憐憫(じこれんびん)…
順番に探しましたが、青い鳥は見つかりません。
諦めず次の扉を開けようとすると、
「開けちゃダメ、危険だよ!」
夜の女王は大声で止めました。
けれど、チルチルはその扉を開きました。
「わぁ、すごい! 青い鳥でいっぱいだ!!」
目の前を、数えきれないほどの青い鳥が飛び交っています。
チルチルとミチルは夢中になって捕まえました。
そして二人は大喜びで夜の女王にお礼を言って宮殿を後にしました。
ところが、夜の宮殿を出たとたん、まやかしの光の部屋にいた青い鳥は、一羽残らず死んでしまいました。
チルチルとミチルは、悲しくて泣き出しました。
光の精は二人をなぐさめ、
「あの森の中に、きっと青い鳥はいるはずよ。さあ、行ってみましょう」
そう言って、二人を森へと案内しました。
ところが、森にやってきたチルチルとミチルに、森の生き物たちがいっせいに襲いかかります。
「ダイヤモンドを回すのよ!」
急いでダイヤモンドを回すと、一瞬にしてのどかな森へと変わりました。
ホッとしたチルチルは、光の精に尋ねました。
「どうして、ぼくらに襲いかかってきたんだろう?」
「大切にされてこなかったと、怒っていたのかもしれませんね」
結局、森では青い鳥を見つけられませんでした。
光の精は『幸福の花園』へと二人を連れていきました。
そこには、さまざまな喜びや幸せが集まっています。
チルチルとミチルは、初めに『お金がたくさんある幸せ』を見つけました。
明るく豊かな光にあふれ、周囲にもその光を届けています。
ですが、その幸せの後ろで、欲張り・見栄っ張り・自己中心の闇たちが、そっと息をひそめているのです。
光の精は言いました。
「お金がたくさんある幸せは、どう使うかで変わってしまうこともあるの。
幸福にもなるし不幸にもなるのよ」
次に見つけたのは、『すぐ近くにある大きな幸せ』です。
青空の幸せ、清い空気の幸せ、朝日が昇る幸せ、愛する幸せ、愛される幸せ。
「私たちの周りにあたり前のようにあるから、忘れてしまいやすいのよ」
そして最後に、『創造の喜び』を見つけました。
考える喜び、創り出す喜び、挑戦する喜び、成し遂げた喜びが、力強い光を放っていました。
しかし、ここでも青い鳥は見つからず、『未来の王国』に行くことにしました。
たくさんの未来の子供たちが、地上で赤ちゃんになるのを待っている空色の国でした。
時の番人がドラをならすと、地上行きの船が出発します。
その様子を見ていたチルチルは、子供たちが何かを持っているのに気がつきました。
「何を持っているんだろう?」
「あれは、神様からの贈り物よ。一人一人違った贈り物をもって生まれるの。
ほら、あの子は『病気の治療薬』、あの子は『未発見のエネルギー』、自分の使命に気づいて一生懸命努力したら、その子たちを通して必ず地上に現れる、神様からの贈り物なの」
船を見送るチルチルとミチルの前に、青い鳥が飛んできました。
「ああ、君は未来の王国にいたんだね」
今度こそ連れて帰ろうと、青い鳥をかごに入れました。
足取りも軽く家へと向かいましたが、いつの間にか、青い鳥は赤い鳥へと変わってしまったのでした…

「おはよう」
優しい声が聞こえます。
「クリスマスの朝ですよ」
チルチルとミチルは、お母さんの声で目が覚めました。
「お母さん、光の精はどこ?」
「魔法使いのおばあさんは?」
「夢でも見たの? さあ、朝ごはんにしましょう」
お母さんはカーテンを開けました。
「えっ、夢だったの?」
二人は顔を見合わせます。
夢というにはあまりにも鮮やかな冒険の旅でした。
いつもと変わらない朝の光景です。
でも、今二人には、周りの全てのものが生き生きと輝いて見えるのです。
お父さんとお母さんからは、ほとばしる深い愛情を感じます。
二人は嬉しくて、お父さんとお母さんの胸に飛び込んでいきました。
ふと、鳥かごに目をやると、家のキジバトの色が変わっています。
「ねぇ、お兄ちゃん見て! 青い鳥!!」
「本当だ、青い鳥だ! 君はこんなに近くにいたんだね」
チルチルとミチルの青い鳥探しは、今、ようやく終わりました。
翌日、二人は鳥かごを持って丘の上に行きました。
「さあ、君を探している人たちのところに行って、君がどこにいるのか教えてあげて。
まだ気づいていない人たちに、君がどこにいるのか教えてあげて」
チルチルとミチルは青い鳥を解き放ちました。
青い鳥は、大空のかなたへと元気よく羽ばたいていきました。

おしまい

福娘童話集バージョン

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青い鳥
イラスト 「みずしま薫」

青い鳥
メーテリンクの童話

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
サソリの折り紙とり

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投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」  【眠くなる優しい女性の声】ぐっすり眠れる世界の昔話

♪音声配信(html5)
音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP

♪音声配信(html5)
音声 御厨 いつき

♪音声配信(html5)
音声 おはなしや

♪音声配信(html5)
音声 ちーさんのちーさな朗読会

 むかしむかし、あるところに、まずしい二人の子どもがいました。
お兄さんの名前はチルチル、妹の名前はミチルと言いました。
クリスマスの前の夜のことです。
二人のへやに、魔法使いのおばあさんがやってきて言いました。
「わたしの孫が、今、病気でな。しあわせの青い鳥を見つければ病気はなおるんじゃ。どうか二人で、青い鳥を見つけてきておくれ」
「うん、わかった」
チルチルとミチルは鳥カゴを持って、青い鳥を探しに旅に出ました。
チルチルとミチルがはじめに行った国は、『思い出の国』でした。
二人はこの国で、死んだはずのおじいさんとおばあさんに出会いました。
「人は死んでも、みんなが心の中で思い出してくれたなら、いつでもあうことができるんだよ」
おじいさんは、そう言いました。
そして、チルチルとミチルに、この国に青い鳥がいることを教えてくれました。
ところが、『思い出の国』を出たとたん、青い鳥は黒い鳥に変わってしまいました。
チルチルとミチルは、つぎに病気や戦争など、いやなものがいっぱいある『夜のごてん』に行きました。
ここにも、青い鳥はいました。
でも、つかまえて『夜のご殿』を出たとたん、青い鳥はみんな死んでしまいました。
それから二人は『ぜいたくのごてん』や、これから生まれてくる赤ちゃんがいる『未来の国』に行きました。
どこにも青い鳥はいましたが、持ち帰ろうとすると、みんなだめになってしまうのです。
「さあ、起きなさい。今日はクリスマスですよ」
お母さんのよぶ声が聞こえました。
目を覚ますと、二人は自分たちの部屋のベッドの中にいました。
青い鳥を探す旅は、終わったのです。
チルチルとミチルは、とうとう青い鳥をつかまえることが出来ませんでした。
でも、チルチルとミチルが、ふと鳥カゴを見ると、中に青い羽根が入っているではありませんか。
「そうか、ぼくたちの飼っていたハトが、ほんとうの青い鳥だったんだ。しあわせの青い鳥は、ぼくたちの家にいたんだね」
二人はお互いに顔を見合わせて、ニッコリしました。
魔法使いのおばあさんは二人に、しあわせはすぐそばにあっても、なかなか気がつかないものだと教えてくれたのです。

おしまい

青い鳥

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