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2023年12月11の新作昔話
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
イラスト 朗読パーク NPO声物園チャンネル
鬼のたまご
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語り 「嶋貫養子」 朗読パーク NPO声物園チャンネル
夏のある日、山奥の村に住んでいる男が、初めて町に出かけました。


すると道に、誰かが落としたまんじゅうが転がっています。

「何じゃ、これは?」

男は、それがまんじゅうだとは知りません。
男はまんじゅうをふところにしまって村に帰ると、庄屋さんの屋敷に出かけました。

この庄屋さんは、日頃から物知りじまんをしています。
「庄屋さま。町で、この様な物をひろいました。これはいったい、何でございましょう?」

庄屋さんはまんじゅうを手にとって、しげしげながめました。
庄屋さんもまんじゅうを知りませんが、日頃から物知りじまんをしているので、知らないとは言えません。
「うーむ。かたちといい、色といい、まさしくたまごであろう。何のたまごかまでは分からぬが、ワタに包んで大事に温めなさい」
男は言われた通りにまんじゅうをワタに包んで、なるべく暖かいところに置きました。

するとまんじゅうからカビが生えてきて、毛が生えているように見えました。

「庄屋さま、あのたまごから毛が生えてまいりました。何のたまごでございましょう?」

男の言葉に、庄屋さんは言いました。

「何、たまごから毛が生えてきだと? ・・・それは、鬼のたまごにちがいなかろう」
おしまい
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