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       2025年4月28日の新作昔話 
  わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。 
 わがはいは友好の証に、クマの生き肝から作った薬をトルコ貴族への手土産として持って行った。 
 だが配達人の手違いで、 
 せっかくの手土産がなくなってしまったのだ。 
  「うむ、手土産がなくては、交渉がうまくいかんぞ。 
 ある名案を思いついたわがはいは、 
 クマがよく出ると言われる農場へ行くと、農作業で使う車のかじ棒にハチ蜜をたっぷりと塗りつけて、 
 クマが現れるのを待った。 
 すると思った通り、ハチ蜜の香りにさそわれて一頭のクマがのこのことやってきた。 
 (こいつは、うまそうなハチ蜜だ) 
 そう思ったクマは棒の先をぺろぺろなめはじめたが、 
 調子に乗ってなめていくうちに、 
 棒がクマののどから胃、腸を通ってお尻へと抜けたのだ。 
   そこで、わがはいは、 
 クマが棒から抜け出せない様に、棒の前後に長い木くぎを打ち込んで クマを生けどりにしてやったのだ。 
 そしてそれからもハチ蜜に誘われて何匹ものクマがやってきたが、 
 わがはいは同じ方法で全てのクマを生けどりにすると、 
 それらのクマが死なない程度の生き肝を少しずつ切り取って、 
 トルコ貴族への手土産としたのだ。 
   クマの肝で作った薬は万病に効くから、トルコ貴族は大喜びだったぞ。 
   ハチ蜜と棒だけでも、わがはいの様に工夫をすればクマを捕まえる事も出来るのだからな。 おしまい 
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