|  | 福娘童話集 > きょうの新作昔話 >饅頭怖い(まんじゅうこわい 2025年7月7日の新作昔話 まんじゅう怖い 
 
   町内の若い者が二、三人寄り集まって、おしゃべりをしていますと、痩せた青白い顔の男が、 
  「どうした、どうした」 
 「実は、おれはまんじゅうがどうしても怖くて怖くて。はっ、早く、どこかへ隠してくれ」 
 と、言うので、ひとまず物置に隠してやりましたが、いたずら好きの一人が、 
 「どうもおかしな奴だ。一つ、いたずらをしてやろうじゃないか」 
 さっそくまんじゅう屋からまんじゅうを買い、 
 おぼんに山盛りに積んで物置の中へ入れると、戸をぴしゃりと閉めて押さえていました。 
   ところがしばらくたっても、音一つしません。 
 と、戸を開けてみると、中の男はまんじゅうを残らず食べてしまい、口のまわりのあんこをべろべろなめています。 
  「あれっ? お前を脅かしてやろうと思ったのに食っちまうとは、どこが怖いんだ」 
 「今度は、お茶が怖い、お茶が怖い」 おしまい 
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