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第 2話
オオカミとキツネ
ある日の事、オオカミの群にとても大きくて力の強いオオカミが生まれました。
彼は、強さ・大きさ・速さと、どれを取っても並外れていたので、みなは彼を『ライオン』と呼ぶ事にしたのです。
しかしこのオオカミは体は大きい分、思慮(しりょ)に欠けていたので、みんなが『ライオン』と呼ぶのを真に受けて、
「へっへー、ぼくはオオカミの母親から生まれたけれど、本当はライオンなのさ。
だからぼくは、オオカミではなくライオンと付き合うべきなんだ」
と、仲間から離れて、ライオンと付き合おうとしたのです。
すると、これを見た年寄りのキツネが言いました。
「ライオンと付き合うなんて、止めておきなされ。
いいかね、お前さんはオオカミたちの間では、その大きな体のおかげでライオンの様に見えるかもしれないが、しかしライオンたちの間じゃ、ただのオオカミにしか見えないんだよ」
「ふん、何を言う。
きっとライオンたちも、ぼくをオオカミとしてではなくライオンとして迎えてくれるさ」
年寄りキツネの忠告を無視したオオカミは、ライオンの所へ行って殺されてしまいました。
グルーブの中で一番だからといって、より実力のあるグループに入れるとは限りません。
おしまい
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