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第 7話
二匹のロバ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 : 神栖星花研究所 「神栖星花研究所」
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投稿者 「天乃悠の朗読アート」 天乃悠の朗読アート
重い荷物を背負った二匹のロバが首に付けた鈴を鳴らしながら、お金持ちのおじさんに連れて行かれました。
一匹の方は麦の袋を三俵も積み上げていましたが、もう一匹の方はかごを一個背負っているだけでした。
そのかごの中には、お金がいっぱい入った袋と、指輪や宝石などの大切な宝物が入った箱が入れてありました。
麦の袋を背負ったロバは、重いのに長い道を歩いて来たので、
「フウ、フウ・・・」
と、苦しそうな息を吐きながら、とぼとぼついて行きました。
首に付けた鈴も、
「リ、リ、リ・・・」
と、あまり良い音もたてませんでした。
もう一匹のロバは、仲間のロバをバカにして、
「へん。おれの方は、大事な物を運んでいるんだぞ。お前の方は三俵も背負ってたって、たかが麦じゃないか。値打ちが違うよ」
と、首を高く持ち上げ、勇ましそうに尻尾を振り、
「力ポカポ」
と、ひづめの音も高く歩いていきました。
首に付けた鈴の音も、
「♪リン、リン、リン」
と、気持ちの良い響きを立てていました。
二匹のロバと主人は、やがて森の中へ入って行きました。
すると、茂った木の陰に隠れていた悪者が、刀を抜いて現れました。
悪者は麦の入った袋などには目もくれず、お金と宝の入ったかごを取ろうとしました。
お金持ちのおじさんも、渡してなるものかと刀を抜いて切り合いました。
その為、宝のかごを背負ったロバは悪い者に殴られたり、切られたり、ひどい目に会いました。
そしてとうとう、悪者にお金と宝を盗まれてしまったのです。
怪我をしたロバは、
「やれやれ、何て情けない事だろう。
お金や宝なんて運んだばかりに、殴られたり、切られたり、ひどい目にあった」
と、なげきました。
麦の袋を背負った方のロバは、
「おれは、そんな大事な物を運ばないで良かったよ。
誰も、おれの事など気にもかけてくれなかった。
それで盗まれもしなきゃ、怪我もしなかった」
と、喜びました。
人から注目を浴びる事は、人からねたまれる事にもなるのです。
おしまい
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