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第 34話

牡ウシたちと肉屋

牡ウシたちと肉屋
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投稿者 : 神栖星花研究所 「神栖星花研究所

 牡ウシたちは、肉屋がこの世からいなくなればよいと考えました。
 それと言うのも、肉屋はウシたちを殺す仕事をしているからです。
 牡ウシたちは肉屋と戦う日時を決めて集結すると、自慢の武器の角の手入れを始めました。
 そんな彼らの前へ、年老いたウシがやって来て言いました。
「肉屋が、我々を殺すのは紛れもない事実だ。
 しかし彼らは、我々を殺すのに手慣れている。
 もし肉屋を殺してしまったら、我々は腕の未熟な者の手に落ち、今の倍の苦しみを味わいながら死ぬことになるだろう。
 ・・・肉屋がいなくなっても、人間は牛肉を食べるのをやめぬだろうからな」

 悪を取り除こうとして、さらに別の悪がやって来るのでは意味が無い。
 物事は、深く考えてから行えという事です。

おしまい

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